アメリカの大学入試制度2

出典: Jinkawiki

ほとんどすべての大学の学部に入学を許可されるには、高等卒業免許状、またはそれに相当するものを所持しなければならない。(その修得科目を特に指定する大学もある。)入学資格については国籍、障害者などによる区別は一切ないが、英語が母国語でなくて、アメリカ外の高校から入学する者は、英語能力が一定の水準以上であることが要求されている。


目次

入学選考方式

1.1オープン入学

オープン入学は、学業成績にかかわらず志望者のほとんどを入学させるものであり、州立の二年制大学に多い。市民大学(工業学校、商業学校を含む)などがそれに相当する。この場合でももちろん、入学の際は高校卒業免許状またはそれに相当する証明書が必要である。また年齢18歳以上という制限や州民以外の志願者、または専攻学科によっては特定の入学選考を行う大学もある。

1.2その他

その他は、高校の成績および席次、SAT(Ⅰ・Ⅱ)やACTなどの全国共通試験の成績、APテスト(大学進学科目の成績)、課外活動、エッセイ(作文)、特技、面接などに基づいて合格者を選ぶ。詳細は各学校によって異なるが、高校で取得単位は英語4、外国語2~3、数学3~4、社会科学3、科学2~3の計14~17単位は必要で、それ以上の20単位くらいが望ましいとする大学もある。SAT(Ⅰ・Ⅱ)および、ACTは民間のテスト専門団体が問題を作成し、それぞれEducational Testing ServiceとAmerican College Testingによって全国各所で施行され、採点される。これらはCollege Entrance Examination(大学入学試験)と呼ばれているため、日本の入試と間違えやすいが、日本のようにこの成績で“足きり”が行われたり、これだけで入学が決まるものではない。それぞれ年に7回および5回行われ普通高校のシニア(最上級・4年生)のときに受験する。 SATはScholastic Aptitude Testの略で、学生の素質・思考能力に関する2時間のテストである。SAT・Ⅰは語句解説(verbal section)と数学(mathematics section)からなり、各800点満点である。SAT・Ⅱは高校科目の1時間のテストである。多くの一流大学ではSAT・Ⅰと三科目のSAT・Ⅱテストを要求している。 ACTはAmerican College Testing Program Assessmentの略で、英語、数学、読文力、科学の実力テストである。試験時間は2時間55分でそれぞれ36点満点である。ほとんどの大学でSAT・ⅠでなければACTを必要としている。

応募要件

年齢による入学制限はないが、多くの州立大学や一部の有名私立大学では、高校での特定の科目(特に英語、数学等の主要科目)の履修及び、一定水準以上の学業成績を入学要件としている場合が多い。

差別をめぐる問題

アメリカでは、差別撤廃是正措置であるaffirmative actionの推進と、バッキ判決に見られる逆差別に関する訴訟問題の影響で差別をめぐる問題があがっている。1964年の公民権法に始まり、1972年の教育改正法、1973年の社会復帰法によって、差別撤廃の是正措置であるaffirmative actionは、女性、少数民族、障害者に対しても雇用と進学における差別撤廃を推進し、差別を行う教育機関や企業・団体に対する連邦の補助金の支給を停止する政策を実施してきた。1978年6月のバッキ判決では、このaffirmative action政策により人種を基礎とする定員の留保が、連邦憲法の平等条項に違反するとし、いわゆる逆差別の訴えを肯定したが、これには合憲の判決が下った。これを受け、入学可能な要件を満たす学生のうちから、さらに選別を行う場合、人種の要素も他の特別な要素と同様考慮され得るというのが今日の判断基準となっている。

参考

『世界の大学入試』大学入学研究会代表 中島直忠編著 時事通信社

『アメリカの大学事情』渡部哲光 東海大学出版会


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