エスペラント19

出典: Jinkawiki

目次

 エスペラント語とは 

1859年ロシア領ポーランドのユダヤ人眼科医Ludoviko Lazaro Zamenhofが、提案した人工語である。ヨーロッパ諸国の言語を取り入れ、改良していき、「あらゆる民族に対して公平であり、学習しやすい」ことを目的としてつくられた。「Esperanto」とはZamenhofが発行した小冊子「Lingvo Internacia」で使用されたペンネームであり、「希望するもの」という意味を持つ。


 歴史

エスペラント語が誕生する根源は、幼いZamenhofが異民族間の争いの原因は宗教、風俗の相違による感情的対立と、言語の相違による相互理解の不足にあると考えたことである。その後、こうした争いの原因を取り除こうと考えており、成長するに連れて消えていく解決策の中でいつまでも残り続けたものが「人類共通の宗教」と「人類共通の言語」への憧れであった。1874年9月、ワルシャワ第2古典学校の4年に編入したZamenhofは、古代ギリシャ語とラテン語を学ぶ中でこれらの言語を「人類の文化を創造した誇り高き古典語であり、特定の民族語を他の民族のうえににおしつけるような不公平は言語ではない」と評価し、これらの言語こそが人類共通語として理想的であると考えた。しかし、この2つの言語を学習することは容易ではなく、世界の一般民衆のための共通語としては不適当であると悟る。存在する言語の中で人類共通語に適したものは無いと判断したZamenhofは、人類語を創造しようとするが「人間の概念を分析して秩序づけ、それに発音可能な範囲の音を組み合わせ符号づけしていき、更にそれを組み合わせて意味の記号を合成する」という方法で作った言語では学習し難く扱いにくいと気づき、最初の試みは失敗に終わった。そこで、語彙を自然語に求め、それを整理する方式をとったところ、語彙は作ることが可能であったが、今度は文法の構成についての問題が起きた。だが、この問題は、古典学校5年生の時に英語を学習することによって解消されている。1878年、古典学校の8年級にいたとき、現在のエスペラント語の大元の土台が完成された。その後、Zamenhof がモスクワ大学医学部に在学中、1878年のLingwa Universalaから1887年のLingvo Internacia(=エスペラント)の8年半の間に2、3回の根本的な作り直しがされており、1881~82年の時点で発音と文字とはエスペラントに近づいており、子音に符号(^)をつけて別の音をしめす、という方式はこの頃から始まった。1887年にはほぼ完成しており、同年7月14日には、ロシアの検閲官から、エスペラント最初のパンフレットの蔵出し許可証が出されている。このパンフレットの名前は「Lingvo Internacia(国際語)」であり、この時Zamenhofが使用したペンネームが「Esperanto」であった。1889年には「ラ・エスペラント」も発行されており、この年には学習者は1000人、1896年には4000人になっていたとされている。1905年には「第一回世界エスペラント大会」も開催された。世界エスペラント大会は毎年一回行われており、現在も続いている。


 言語的特徴 

主に英語・フランス語・ドイツ語・ポーランド語を基本としてつくられている。 オトと文字が1:1、つまり「一字一音」である。また、品詞ごとに接尾語が決まっている。複数形などの接尾語もそれぞれ統一されており、例外が無い。よって、不規則な変化や格変化は整理され、取り除かれている。

 批判 

比較的初期に、エスペラントは単なる言語であって、いかなる個人的理由であっても思想と結びつけるのは避けるべきだ、という批判が起こっている。また、言語学者オットー・イェスペルセンは「Novial」という新言語を発表したうえで「未来の計画言語の語彙はロマンス語と英語からとるべきである」と、ドイツ語・ロシア語等をルーツに持つエスペラントの単語について批判した。その他にはエスペラントは美しいか、やさしいかといった批判や、「論文」「主の祈り」「日本書紀」等がエスペラント訳されていることに対し、何の意義も見いだせない、といった批判がある。


参考文献

田中克彦 2007 エスペラント―異端の言葉 岩波新書

三宅史平 1976 エスペラントの話 大学書林 

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