チャータースクール17

出典: Jinkawiki

概要

 親や教員,地域団体などが,州や学区の認可を受けて設ける初等中等学校で,公費によって運営される公立学校の一形態。州や学区の法令・規則の適用が免除されるため,独自の理念・方針に基づく教育を提供することが可能。ただし,教育的成果をチャーター交付者により定期的に評価され,一定の成果を挙げなければ,チャーターを取り消される。また、各校が独立した運営委員会を持ち、State Public Charter School Commissionとのパフォーマンス契約の下、学区の生徒を対象に税金によって運営される。


特徴

 アメリカ合衆国では教育に関する権限は州にあり,チャータースクールに関する制度は州によって異なる。このため,チャータースクールの設置許可の主体や設置許可数の制限の有無,教員免許を持たない教員の任用の可否などは,州によって様々であるが,大まかには以下の規定がある。 教員,親,地域団体などの設置者の多様性。公費によって運営,授業料の徴収はしない無償制。州,学区と設置者の間で児童生徒の学力等の改善に関する契約を締結するため、成果が挙がっていないと判断されればチャーター取り消し可能。 多くの法令・規則の適用が免除されるため,独自の理念・方針に基づく教育が可能になり、州によっては,教員免許を持たない者もフルタイムの教員として教壇に立つことが可能。一般の公立学校と同様原則としてすべての希望者を受け入れること。 また、独自の理念・方針に基づく教育の実現や、きめ細かな指導が可能な一方で、教育の質の低下や教育機会の均等への悪影響、人種分離の可能性、学校評価の不徹底による学力向上への貢献に対する疑問などの問題も考えられている。


背景

 人種や所得階層の住み分けによる教育条件の地域間(学区)間格差是正、基礎学力の低下による学力格差の拡大の阻止、 薬物,暴力,ドロップアウトなどによる学校の廃校の影響を受け、1991年,ミネソタ州で設置を認める法律が成立。翌92年に同州で全米最初のチャータースクールが設置された。これに続き,92年にはカリフォルニア州で,93年にはコロラド州やジョージア州など6州で同様の法律が制定され,設置を認める州が増えるにともない,学校数も増大した。また、1997年の一般教書演説で、クリントン大統領は,西暦2000年までにチャータースクールを全米で3,000校にまで増やすことを提言した。

日本との違い アメリカは教育の分権化が進んでいるため、州のカリキュラムはガイドラインにとどまり学校教育は学校区の教育委員会に委ねられている。教育委員会といっても日本のそれとは性格が異なり、教育委員会は市町村等の行政機関から独立し徴税権を持つ教育に特化した行政単位で、州の中でも学校区ごとに多様な教育が行われている。日本の場合、公設民営学校であっても政府が定めた学習指導要領(カリキュラム)に従わなくてはいけない。アメリカの場合は、同じチャータースクールであっても場所によってチャーター(学校区との契約)の内容が異なることもあり、州によって規制緩和の程度が異なっている。そこが日本とアメリカの大きな違いである。


参考文献 ジョーネイサン 『チャータースクール』(1977) 一光社

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