チンギスハーン

出典: Jinkawiki

モンゴル帝国の初代皇帝(在位1206年 ~1227年)。 彼は一代のうちにモンゴル諸部族を統一し、その後も1227年の死に至るまでアジアからヨーロッパにわたる地域に軍を進めた。モンゴル帝国は彼の死後も膨張を続け、東は中国、朝鮮半島、西は東ヨーロッパ、アナトリア、シリア、南はアフガニスタン、チベット、ビルマにまで至る巨大な版図を獲得した。 帝国がチンギスの死後百数十年を経て解体した後も、その影響は中央ユーラシアにおいて生き続け、遊牧民の偉大な英雄としてチンギスは賞賛された。とくに故国モンゴルにおいて、チンギスは神となり、現在のモンゴル国においては国家創建の英雄として称えられている。


チンギス・ハーンの生い立ち

モンゴルは遊牧ウイグル帝国の解体後、バイカル湖の方面から南下してきてモンゴル高原の北東部に広がり、11世紀には君主(カン、ハン)を頂く有力な集団に成長した遊牧民であった。 そのモンゴル部でチンギス・ハーンはイェスゲイとホエルンの長男として誕生し、テムジンという名を与えられた。『元朝秘史』、『集史』などが一致して伝えていることには、チンギスが誕生した直前にイェスゲイはタタル部族の首長であるテムジン・ウゲとコリ・ブカと戦い、このテムジン・ウゲを捕縛して連行して来たという。この時ホエルンが産気づきオノン川のデリウン岳でイェスゲイの軍が下馬した時に出産したといい、このためイェスゲイはその戦勝を祝して出生したばかりの初の長男の名を「テムジン」と名付けたと伝えられる。テムジンの生年については、当時のモンゴルに歴史を記録する手段が知られていなかったため、その生年には1155年・1162年・1167年と3つの説がありはっきりしない。


モンゴル帝国の建設

メルキト部による襲撃の後、ジャムカの助けを得て勢力を盛り返したテムジンは、次第にモンゴル部の中で一目置かれる有力者となっていった。テムジンは振る舞いが寛大で、遊牧民にとって優れた指導者と目されるようになり、かつて父に仕えていた戦士や、ジャムカやタイチウト氏のもとに身を寄せていた遊牧民が、次々にテムジンのもとに投ずるようになった。さらに、1195年、ケレイト部で内紛が起こってトグリルが追われ、その兄弟ジャガ・ガンボがテムジンのもとに亡命し、続いてジャガ・ガンボを頼ってトグリルがテムジンのもとに合流してケレイトの王位に復した。両者は、トグリルがテムジンの父イェスゲイと盟友の関係にあったことにちなんで義父子の関係を結んで同盟し、協力して中国の金に背いた高原東部の有力部族タタルを討った。1197年には高原北方のメルキト部に遠征し、1199年には高原西部のアルタイ山脈方面にいたナイマンを討った。1200年、今度はテムジンが東部にケレイトの援軍を呼び出してモンゴル部内の宿敵タイチウト氏とジャジラト氏のジャムカを破り、続いて大興安嶺方面のタタルをフルンブイルに打ち破った。1202年には西方のナイマン、北方のメルキトが北西方のオイラトや東方同盟の残党と結んで大同盟を結びケレイトに攻めかかったが、テムジンとオン・ハンは苦戦の末にこれを破り、高原中央部の覇権を確立した。しかし同年、オン・ハンの長男イルカ・セングンとテムジンが仲違いし、翌1203年にオン・ハンはセングンと亡命してきたジャムカの讒言に乗って突如テムジンの牧地を襲った。 1205年、テムジンは高原内に残った最後の大勢力である西方のナイマンと北方のメルキトを破り、宿敵ジャムカをついにとらえて処刑した。翌1206年2月、テムジンはフフ・ノールに近いオノン川上流の河源地において功臣や諸部族の指導者たちを集めてクリルタイを開き、諸部族全体の統治者たる大ハーンに即位してモンゴル帝国を開いた。チンギス・ハーンという名はこのとき、イェスゲイ一族の家老モンリク・エチゲという人物の息子で、モンゴルに仕えるココチュ・テプテングリというシャーマン(巫者)がテムジンに奉った尊称である。


チンギスハーンに関する主な資料

■『元朝秘史』モンゴル語で書かれた唯一の正史(*モンゴル文字原文を漢字音写)

■『集史』ペルシャ語で書かれたモンゴル帝国の通史

■『元史』漢語で書かれたモンゴル王朝(元朝)の正史


参考文献

『世界帝王系図集』 下津清太郎/編 近藤出版社

『チンギス・ハーン』 岡田英弘 朝日新聞社

『モンゴル帝国史』 ドーソン 平凡社

http://www.ne.jp/asahi/chronicles/map/mongolia1.htm


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