ノルウェーのEU加盟問題

出典: Jinkawiki

 現在、数多くの欧州諸国がEUに加盟する中でノルウェーは数少ないEU非加盟国の一つである。EUへの加盟については、1972年(この時はECへの加盟について)と1994の2度にわたって国民投票が行なわれたが、いずれも国民は加盟に反対している。しかし反対派と賛成派の差は小さく、反対の支持率は約55%前後、賛成の支持率は約45%前後で推移しており、難しい問題として論議されている。


EU加盟に反対する理由

1、福祉水準の低下と利益が損なわれる事への懸念

 ノルウェーは北海に石油資源を持ち、世界第3位の石油輸出国である。人口僅か450万人のノルウェーにその石油資源が多額の利益をもたらし、高負担・高福祉の国家を実現した。  ところが、EUに加盟する事で高かった福祉水準をEUの水準に合わせなければならなくなるため、現在の福祉国家体制が崩れてしまうのではないかと危惧する声が上がっている。  また、ノルウェーはEUの中でも富裕国であり、人口が少ないことから議会に送れる人数も少人数であるために、結果としてノルウェーは他国を援助する立場にばかり回る可能性が高いため、現在の利益が大きく損なわれるというデメリットの方が多く、EU加盟のメリットは少ないという考え方がある。

2、漁業・農業の保護

 国土のほとんどが山であるノルウェーには耕作地が少なく、農業の生産力はとても低いため、手厚い農業保護政策をおこなっている。ところがEUに加盟すればEUの規定にしたがわなければならず、十分な保護ができなくなってしまう。そうなれば、耕作地が多く生産力の高い国とはとても太刀打ちできなくなり、ノルウェーの農業が崩壊してしまう危険性がある。  また、ノルウェーの代表的な産業である漁業がEU加盟によって規制を受けることや、捕鯨問題をめぐってEUと対立していることも理由に挙げられる。


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