フィンランドの教育7
出典: Jinkawiki
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教育制度
「全ての子供に平等な教育」「現場への信頼」「質の高い教員の養成」という理念がフィンランドの教育の根幹にあるのである。日本と同じように義務教育は6・3制であり、小学校には7歳から入学することになっている。小中学校は独立しているケースもあれば、一緒になっているケースもある。また小学校入学する前に就学前教育(プリスクール)というものを併設された保育所などで実施することが一般的であり、この場合の教育費は無料となっている。しかし、日本とは異なる面もあり自らの子供が入学する学校のレベルにまだ達していないと親が判断した場合に入学を1年間遅らせることが出来るのである。このようなプログラムを「10年生」と言いもう1年勉強することが出来るのである。他にも一部の学校を除きほぼすべての学校が公立校である点や大学などにおいてレベルに大きな差がないことから学歴主義と言うものが存在しないのも日本とは異なる。また学費や給食費(大学を除く)は基本的に全て無償であり私用で使う教材が自己負担であるだけである。
PISAの成績
OECD(経済協力開発機構)が実施している国際学力調査のPISAでフィンランドは2000年度は読解力1位、数学リテラシー4位、科学的リテラシー3位。さらに、2003年度は読解力及び科学的リテラシー1位、数学的リテラシー2位。2003年から新たに加わった問題解決能力では3位といずれも好成績を収めており、どちらも総合ランキング世界1位の成績となっていたのである。結果的にこれが世界からフィンランドの教育における成功の秘密に迫ろうとする動きが本格的に始まるきっかけとなったのである。
平等な教育
PISAの結果は2000年、2003年ともにフィンランドにおいて、生徒間、学校間、家庭環境の違いによる学力格差が少ないことを示していたのである。実際に2003年の数学リテラシー得点は「ほとんど学校各差がない」と評価されており、PISAの報告書には「相対的に全ての生徒の数学的リテラシーが全ての学校で高い基準にある」という最も理想像に近い結果を示しているとまとめられているのである。「平等」は最もフィンランド教育において重要な目標とされていて最優先課題とされてきた、結果として就学前段階から高等教育前段階まで無償制をしき教育の機会均等を図ってきたのである。学校内における能力別指導やランキングの否定など非選別型教育など長年にわたり重視してきた政策の有効性が、PISAという国際調査の場において証明されたのである。
フィンランドの教員養成
フィンランドの教師が原則として修士号を持っているということはPISA実施以降有名になった話である。この制度は1971年に教員養成法において、それまでの師範学校で行われていた教員養成を大学で行うことが規定され移行期間を経て1975年から大学における教員養成がスタートしたのである。その後、高等教育学位全体が見直される中1978年に「教育学に関する学位と家庭に関する政令」が公布され、教員養成課程を修了すれば修士号が取得できることが規定されたのである。1970年代に改革を実行したその後もほぼ10年おきに教員養成課程改革が行われている。その結果、教員養成では、教育実習を中心とする実践的な取り組みを重視する一方で、教育の専門家としての立場からの研究を進めていくことが出来る基本的な資質・能力を育むことも重視されるようになっているのである。アカデミックな教員養成に対する批判も存在するが、例えそれが真実であっても「教師の社会的地位を上げた」ことによって優秀な人材を教育の道へと導く推進力になったことに対するその功績は計り知れないのである。
参考文献
庄井良信・中嶋博編 フィインランドに学ぶ教育と学力(2005) 明石書店
福田誠治著 格差をなくせば子どもの学力は伸びる:驚きのフィンランド教育 (2007) 亜紀書房
「世界と日本の教育」 http://www.deer-for-sale.com/sekaikyoiku/finland.html
「学力世界一!フィンランド教育成功の秘訣」 http://allabout.co.jp/gm/gc/66209/