フィンランドメソッド

出典: Jinkawiki

フィンランドの教育手法。北川達夫さんの著書によるとフィンランド・メソッドとは、①発想力、②論理力、③表現力、④批判的思考力、⑤コミュニケーション力の5つの力を育てる教育の在り方を指している。

 具体的には、カルタと呼ばれるイメージ・マップを書きながら読みの広がりを整理したり、または創作する物語の構想の全体像を具体化したり、クラスで友達との意見交流による考えや作品の練り上げという集団思考を行うことがフィンランド・メソッドで重要なこととされている。また、いつも、わからないことは「なぜ?(ミクシ?)」と子ども同士で問い合って、その答えを探求し合う課題解決的な指導過程や、物語や説明文の内容を鵜呑みにするのではなくて、その価値や表現技法までを批判的に検討することなどがもフィンランド・メソッドの手法である。

 さらに細かくフィンランド・メソッドの指導方法とつけたい力について

(指導方法)

(1)多様な資料の活用 ①複数の資料を比較・統合して結論を出させる ②資料の先読みや資料の間違った箇所の修正をさせる。 ③生活の身近な題材や社会問題を学習内容として取り上げる。 

(2)型の掲示と活用 ①思考と表現の型を教えて個性的に活用させる。 ②思考でも表現でも常に主題を意識化させる。 ③内容理解だけでなく作品批評や制作技法の評価を行わせる場面を設定する。

(3)共同的集団づくり ①サークルタイムや相互評価を通じて考えの深化や表現の練り上げをさせる。 ②学習規律の在り方をグループで考えさせてルールを守らせる。③宿題の答え合わせや宿題の作品発表を学級全体で行わせる。

(4)表現活動の重視 ①多様な表現活動をさせる。 ②即興表現を行わせて豊かな発想力や表現する意欲を育てる。 ③異なる形式のテキストを組み合わせてまとめさせる。

(5)思考の活性化 ①カルタを用いて自分の考えや創作物の構想をまとめさせる。 ②常に、「なぜ?」を問い、それらに自ら論理的に答えるようにする。 ③資料の裏にある仮説・根拠・仮定を考えさせる。

(6)自分づくり ①常に自分の言葉で考えて、自分の考えを論理的に表現させる。②自らの調査や実験等で収集したデータをもとにして資料を作成させる。 ③自己成長や学力向上の軌跡を振り返らせて自信をつける。

(7)個に応じた指導 ①朝の始業前に学力に課題のある子どもに対して補充指導を行う。 ②授業中に、課題達成力の違いに応じて異なる学習課題を与える。 ③一人ひとりのレベルに応じた学び方を育成する。

(つけたい力) (1)多様な資料活用・・・・・・①比較分析力、②先を読む力、修正力、③生活に生かす力

(2)型の掲示と活用・・・・・・①基礎学力を生かす力、②主題把握力、③作品評価力

(3)共同的集団づくり・・・・・①討論力、相互評価力、②学習規律、③協力性、協調性

(4)表現活動の重視・・・・・・①表現力、②即興表現力、③総合表現力

(5)思考の活性化・・・・・・①発想力、関係構造力、②論理的思考力、③洞察力、推察力

(6)自分づくり・・・・・・・①自ら考える力、②主体的な資料活用力、③自信、自尊感情

(7)個に応じた指導・・・・・①基礎学力、自尊感情、②学び方のスキルと態度


参考文献 北川達夫著 『図解フィンランド・メソッド入門』 経済界、2005年。

田中博之著 『フィンランド・メソッドの学力革命』 明治図書、2008年。


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