フォッサマグナ2

出典: Jinkawiki

中央地溝帯とも呼ばれる。語源はラテン語の「Fossa Magna」(大きな窪み)を意味する。

フォッサマグナは、日本の地質構造上東日本と西日本を分ける重要な地帯である。本州中央部、中部地方から関東地方にかけての地域を縦断位置する。


概要

古い時代(おもに中生代・古生代)の岩石でできた 、ほぼ南北方向の溝の中に、新しい時(新生代)代の岩石がつまっている。 この溝は、上空から見下ろしてわかるような、地形的な溝ではなく、山々をつくっている地層や岩石を知ってはじめてわかる「地質学的な溝」である。

ハインリッヒ・エドムント・ナウマンはこの地質構造の異なるラインが糸魚川から静岡にまで至るのを発見し、1885年に論文 "Ueber den Bau und die Entstehung der japanischen Inseln"(「日本群島の構造と起源について」)として発表した。翌1886年に「Fossa Magna」(フォッサマグナ)と命名した。彼は南アルプス山系から八ヶ岳や関東山地を眺望した際、巨大な地溝帯の存在を思いついたとされる。

また、フォッサマグナの真ん中に南北方向の火山列があるのが特徴である。代表的な火山は北から、新潟焼山・妙高山・黒姫山・飯綱山・八ヶ岳・富士山・箱根・天城山などがある。フォッサマグナの地下には、フォッサマグナの部分が落ち込んだ時にできた南北方向の断層があり、そこを通ってマグマが上昇し、南北方向の火山列ができたと考えられている。

最近の地質調査も大きく進展し、ハインリッヒ・エドムント・ナウマンが予想したような、フォッサマグナの東縁を示す明瞭な境界(直江津-平塚線)は見つからなかった。現在は、西縁は糸魚川-静岡構造線、東縁は新発田-小出構造線と柏崎-千葉構造線にはさまれた地域となっていて、この地域をフォッサマグナと呼ぶことが一般的である。


フォッサマグナの溝の深さ

深さは6000m以上ある。また、北アルプス(古い時代の岩石)は標高約3000mあり、越後山地(古い時代の岩石)は約2000mある。それらの標高を足すと8000m~9000m以上の深さがあることになる。


フォッサマグナと地震

フォッサマグナと地震との関係を示す以下の3つの地域。


1.信濃川地震帯

新潟地震、三条地震、長岡地震、善光寺地震などの地震が起きている。明治時代の地震学者、大森房吉は信濃川に沿う地震多発帯を信濃川地震帯と呼んだ。大きな地震が起きると、他の地震が連鎖的にこの地震帯上に起こることが特徴である。

信濃川地震帯は新潟平野~長野盆地~松本にかけてのびていて、新発田-小出構造線に平行である。このことは新発田-小出構造線に平行な大断層が、信濃川地震帯直下に伏在していることを示している。この地震帯は、新潟市から日本海に出てプレート境界線につながっており、ユーラシアプレートと北アメリカプレートの真の境界だという人もいる。


2.糸魚川-静岡構造線中央部

糸魚川-静岡構造線は中央部が全長150kmの活断層だが、その北端、南端部は活断層の証拠が見つかっていない。断層を掘って調べるトレンチ調査によって、松本付近の牛伏寺(ごふくじ)断層が活断層で、1000年に8mをこえる日本最大級の変位量を示し、断層間隔は1000年かそれ以下とわかった。最近の活動は西暦841年なので、1000年以上起こっていないことになる。そのため糸魚川-静岡構造線中央部が日本の活断層の中で最も危険な断層といわれている。


3.関東平野西部の異常震動帯 

関東平野は荒川、利根川が運んだ土砂に埋め立てられ、活断層の露出があまり多くない。しかし大宮南部の荒川断層帯、岩槻付近の綾瀬川断層が知られていて、北西~南東方面にのびている。またこの地域では、付近に地震が起こると揺れが集中的にあらわれ、周囲よりもよくゆれる帯状の領域、異常震動帯が知られている。熊谷-岩槻異常震動帯、秩父-三鷹異常震動帯などがそれで、いずれも北西~南東方向にのびている。この北西~南東方向の活断層帯、異常震動帯は柏崎-千葉構造線と一致もしくは平行であり、これらはフォッサマグナができたころの東縁断層を反映していると考えられる。


<参考URL>

http://www.city.itoigawa.niigata.jp/fmm/outline-menu/02outline-fm/02fossamagna.html

http://www.city.itoigawa.niigata.jp/fmm/detail-menu/130fossa-equ/fossa-eqs.html


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