フォルケホイスコーレ24

出典: Jinkawiki

目次

概要

フォルケホイスコーレとは、デンマークに150年ほど前から始まった自由な学校である。その言葉は「民衆(国民)の大学」を意味し、現在100校を数え、また世界に拡がっている。17歳半以上であれば誰でも学ぶことができ、特色は、試験を拒否し資格を与えず、全寮制で教師と学生が共同で学び、カリキュラムが自由で、国家の干渉を受けない私立の学校であるという点である。近代デンマーク精神の父、N.F.S.グルントヴィ(1783-1872)によって構想され、今日のデンマークを築く原動力となった。

フォルケホイスコーレの運営状況

フォルケホイスコーレは私立の学校であり、基本的には授業料収入と国庫補助金の二本立てで運営されている。管轄は、学校教育を扱う教育・研究省と成人教育を担当する文化省である。 ①授業料 授業料は学校によって若干の違いはあるが、おおむね似たような額である。ある学校では16週間(4か月)コースで、授業料:18400クローネ(約37万円)、デポジット1000クローネ(約2万円)、教材費1000クローネ(約2万円)、合計20400クローネ(約41万円)【月額5100クローネ(約10万2000円)】となる。 ②国からの補助 国庫補助金は、総経費の最高75%まで受け取ることができる。その用途としては、(1)学校運営・維持の補助、(2)教職員の賃金の半額補助、(3)建築費・施設拡充に対する資金の貸付(年利で四分)が主である。基本的にはハード面での維持資金、そして人件費の半分を国が負担していると考えて良い。 ③組織状況 このように政府は財政援助を行うが、人事とカリキュラム、授業内容には一切干渉することができない。フォルケホイスコーレは個人の集まり、労働組合や教会、市民運動団体などの諸団体、そして自治体などの創立者グループと学校の教職員の代表で集められた理事会で運営され、設立に関与した多くの地域の住民がその構成メンバーになっている。

授業内容

①期間 フォルケホイスコーレのコースは学校によって細かい違いはあるが、基本的には2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月の4種類のコースがある。開始時期は6ヶ月や8ヶ月の長期コースの場合であれば冬に始まるものが多く、短いものは春や秋(4月・9月)に始まる。長期コースの場合は寮生活が原則で、短期コースの場合は自宅から通う形が多くなるが、この場合でも共同の語らいが重視されているため、食事やお茶の時間は学校で取るとされる。 ②カリキュラム 今日100校設置されているデンマークのフォルケホイスコーレだが、大別すると、グルントヴィ式の学校、体育会の学校、キリスト教団体系の学校、芸術系の学校、自由高校を併せ持つオングドム(青少年)・ホイスコーレ系の学校、家政、看護、語学、ダイエット、労働運動などの専門系の学校、トヴィンド・スクールに代表される旅するフォルケホイスコーレ系の学校、老人を対象とする学校などが挙げられる。 グルントヴィ式の学校は、 (1)伝統的な科目(デンマーク文学、歴史、自然科学、コーラス、演劇、デンマーク体操、語学など) (2)趣味と実益を兼ねた実践的な科目(陶芸、写真、ビデオ制作、ヨット・ボード・テニス・ダンスなど各種スポーツ、バンド演奏、手芸、工芸、絵画、音楽、芸術理論など) (3)現代的な課題(エコロジー、国際関係、発展途上国問題、フェミニズム、エネルギー論、精神医学、有機農業、心身論、非暴力トレーニングなど) の3つが組み合わされたカリキュラムと考えて良く、学校の性格に応じて重点の置きどころが異なる。

参考文献

オヴェ・コースゴール 清水満(1993)『デンマークで生れたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界 グルントヴィと民衆の大学』新評論


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