フランスの教育 一般原理

出典: Jinkawiki

フランス教育制度は、相当な数の原理・原則に基づいており、それらのうちのいくつかは、1789年の大革命によってもたらされたものである。1881年から1889年の間に定められた法律、そして第4および第5共和制{1959年法(※私学助成に関するドゥブレ法)、1975年法(初等中等教育基本法といわれるアビ法)、1984年法(高等教育基本法といわれるサヴァリ法)、1989年法(教育基本法といわれるジョスパン法)}のもとでの法律が、現在の教育制度の基本となっている。それらには、国の義務としてすべての段階で組織される公教育と私立教育が含まれる。この後者の私学は、一定の条件のもとで、国及び地方公共団体によって財政援助されうる。 これら教育の一般原理・原則は、以下のようになっている

1. フランス共和国は、教育に関する公役務と、教育の自由という原則の枠内において、国の管理のもとに置かれ国の財政援助を受ける私立学校との合法的な共存を持って認めている。この財政援助は、国との契約に同意した私立学校に認められている。援助を受ける代償として、当該私立学校は、公的な学習指導要領に準じた教育を行わなければならず、また生徒の受け入れについていかなる差別も行わないという限りでの非宗教性原理を尊重しなければならない。

2. 無償制 公立の学校及び教育機関における教育は、無償である。小学校及びコレージュにお いては、教科書は無償で提供される。奨学金も家庭に供給されることができる。

3. 中立性―非宗教性 公教育は、そこで実施される教育は中立であり、また生徒の受け入れと取り扱いに関しての平等原則を尊重するものとされている。宗教的事項に関しての中立性、思想的及び政治的な中立性は、教員及び生徒の義務である。宗教教育は、学校教育カリキュラムの中に位置づけられてはいないが、初等教育については学校の外で、または施設付司祭がいる中等教育機関では、当該学校内で宗教教育を行うことができる。

4. 義務教育 教育は、フランスに住んでいる満6歳から満16歳のすべての男女にとって義務である。

5. 国による学位と資格・免状の付与 唯一、国のみが、資格・免状と学位を交付する。いくつかの私立学校も、資格・免状を交付するが、それらは国によって認められたものでない限り、公的な価値を有しない。国は資格・免状の取得を望む全ての政党に開かれた公的試験を組織する。試験に関する規則制定は、国の段階で行う。

教育に関する基本法と言われる1989年7月10日付法律は、「教育は、国の第一の優先事項である」と規定している第一条において、教育を受ける権利を確認している。そしてこの法律の付属報告書に於いて「平等、自由、非宗教性の基本原理の尊重のもとに、その社会的、文化的または地理的出自にかかわらず、フランス国内で生活している全ての子ども及び青年に対して、国はこの権利の行使を有する保障する」と明確に述べている。 この教育基本法では、以下のように教育についての目標を定めている。 ・一人ひとりの青年は、段階をおって、その自己の進路を作り上げていく(「すべての子どもは、その家庭が望むならば、3歳から、受け入れられなければならない」とされる保育学校から始まる) ・すべての青年は、公認された教育水準に達する(少なくとも職業適格証CAPまたは職業教育免状BEPの段階に) ・5人のうち4人(80%の者)が、バカロレアの水準に到達する ・希望するすべてのバカロレアの取得者(又はこれと同等の資格を有する者もしくはこの資格取得を免除されたもの)は、高等教育を受けることを認める ・教育は、その方法においても内容においても、国際理解協力及び統一ヨーロッパの建設に向けて、より一層開かれたものとなる。

参考文献 フランス教育行政担当者教会 フランスの教育制度と教育行政(2000) 小野田正利 訳 Rei


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