マララ・ユスフザイ
出典: Jinkawiki
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人物
パキスタンの女性で人権活動家である。女性の教育権利を認めないタリバン勢力の圧力に、屈せずに「女の子にも教育を、学校に通う権利を」と訴え続け、その姿勢が多くの人々の共感を呼ぶ。2012年にタリバンに銃撃され、生死の境をさまようも、奇跡的に命をとりとめ、その後も教育のための活動を続ける。今では、全世界の子どもたちがみな教育を受けられるように訴えるとともに、NPO組織である「マララ基金」を通じて、世界中の草の根団体や教育支援活動をサポートしている。また、2014年ノーベル平和賞受賞者でもある。
略歴
1997年7月12日、パキスタンのイスラム教スンニ派の家庭に生まれる。名前の由来は、パシュトゥーン人の英雄であるマイワンドのマラライにちなんで名付けられる。父親の学校で充実した勉強環境の中で将来は医者を目指す。2007年、武装勢力パキスタン・タリバン運動が一家の住むスワート渓谷の行政を掌握し、恐怖政治を開始する。それは、女性の教育を受ける権利を奪うことだけでなく、教育を受けようとしたり、推進したりしようとする者の命を優先的に狙うことでもある。2009年、マララが11歳のときに、BBC放送の依頼でタリバンの支配下にあったスワート渓谷で恐怖におびえながら生活する人々の状況をウルドゥー語のブログに投稿して、タリバンによる女子高の破壊活動を批判する。女性の教育の必要性を訴え、また平和を訴える活動を続けることがイギリスメディアに注目される。2009年、タリバンがパキスタン軍の大規模な軍事作戦によってスワート渓谷から追放された後、パキスタン政府は彼女の本名を公表し、「勇気ある少女」として表彰する。彼女は、その後講演会などに出席し、女性の権利を訴えるも、それに怒ったタリバンから命を狙われる存在となる。そして、2012年、銃撃事件において、タリバン勢力に頭部を銃撃されるも命をとりとめる。2013年、1月3日に退院し、同月9日にシモーヌ・ド・ボーボワール賞を受賞、同年7月12日には国際連合本部で演説を行い、教育の重要性を訴える。また、その7月12日を国連はマララ・デーと名づける。同年10月にはサハロフ賞を受賞する。2014年には、ノーベル平和賞を史上最年少者として受賞。また、米タイム誌が発表した、「2014年最も影響力のある25人のティーン」の一人にも選ばれた。
銃撃事件の概要
マララが注目されることとなる大きな事件のことである。女性の教育活動を続ける彼女に対し、激怒したタリバン勢力は彼女の命を狙う。2012年10月9日、中学校から帰宅するためのバスに乗っていたところ、複数の男に銃撃され、頭部と首に計2発の銃弾を受け、共にいた2人の女子生徒と負傷する。この事件はタリバンは認めるも、「若いが、パシュトゥーン族が住む地域で欧米文化を推進した」と彼女を批判し、彼女に対してさらなる犯行を予告する。しかし、この凶行に対して、パキスタン国内はもちろん、国際連合事務総長である潘基文やアメリカのヒラリー・クリントン国務長官など世界各国からの非難の声が上がる。一方で、タリバン勢力は、「女が教育を受ける事は、許し難い罪であり、死に値する」と正当性を主張する。銃撃事件を受け、アンジェリーナ・ジョリーはパキスタンやアフガニスタンの少女のために5万ドルを寄付、その寄付金はパキスタンやアフガニスタンにおける女性教育のために闘った女性、少女を表彰する賞の創設に使われる。10月13日、5人の容疑者とみられる人物が逮捕される。彼女は、首都イスラマバード近郊のラーワルピンディーにある軍の病院で治療を受ける。その後、さらなる治療と身の安全のためにイギリス・バーミンガムの病院に移送される。銃弾は頭部から入り、あごと首のあたりで止まっていたため、外科手術によって摘出されるも、頭部に感染症の兆候があった。しかし、奇跡的な回復を見せ、2013年1月3日に約2か月半ぶり退院する。家族とともにイギリスの仮住まいで生活を続けながらリハビリを続け、同年2月に再手術を受ける。2014年9月12日、マララの銃撃事件に関わったイスラム過激派の10人を逮捕したと発表。しかし、パキスタン・タリバン運動から分離した過激派ジャマトゥ・アハラールはマララ銃撃事件には3人が関与し、1人は殉死したが、2人は生きていると言って、軍の発表を否定している。一方で、パキスタンタリバン運動の指導者であるマウラナ・ファズルッラーが銃撃を命令したとの説もあるが、否定している。
受賞
・シモーヌ・ド・ボーボワール賞(2013年)
・サハロフ賞(2013年)
・ノーベル平和賞(2014年)
参考文献
・マララ・ユスフザイ,クリスティーナ・ラム 著 金原瑞人,西田佳子 訳 『わたしはマララ 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女』 学研マーケティング 2013
・マララ・ユスフザイ,パトリシア・マコーミック 著 道傳愛子 訳 『マララ 教育のために立ち上がり、世界を変えた少女』 岩崎書店 2014
ハンドル名:Y.K