中国の環境問題

出典: Jinkawiki

目次

黄河の断流現象

現代の黄河では水が枯れ、川床が干上がる「断流」現象がしばしば起こる。断流のおもな原因は三つある。 第一に、黄河の水量が需要に対して絶対的に不足していること。黄河の水は中国全体の水賦存量の2パーセントであるが、流域には全国の耕地面積15パーセントがあり、全人口の12パーセントが黄河流域で暮らしている。黄河は中国で2番目の大きな川ではあるが、長江の20分の1の流量しかない。 第二に、灌漑用水、主に農業灌漑用水の使い過ぎがあげられる。都市、工業用水の理由は合わせても10パーセント以下である。かつて上流域で農業用水に理由していたのは寧夏と内モンゴルだけだったが、いまはあちこちで利用している。 第三に、水管理の問題がある。灌漑時の無駄を省くためには莫大なコストがかかる。現在節水に取り組んでいるが、長期的には、南水北調対策が解決策になるだろう。今は需要に合わせて供給しているが水不足に対する根本的な解決になっていない。

有機養豚

中国での生態農業で、養豚は一番の収入源である。現在、豚は56haの土地に2万頭飼育されている。養豚の規模が拡大すれば、懸念されるのは増加する排泄量である。排泄物が土中の過剰に投入されれば、硝酸態窒素過多となり地下水が汚染される。特に、夏には異臭問題も生じる。家畜の排泄物は農村環境問題である。この問題の解決策は水生植物のホテイアオイでを投入することである。

重慶の公害

日中戦争の折に蒋介石の国民党政府の首都とされ、その後外敵の侵入困難なこの地域に、中国きっての重工業が国策として立地した。そして重慶は中国最悪の公害都市と見られるようになった。重慶では二酸化硫黄がたくさん排出されている。重慶の石炭はとても質が悪いからである。また、酸性雨もひどい。世界のSO²汚染ランキングでは、10位の中に入っている。そのため、重慶は世界からとてもマイナスなイメージを持たれている。

日中環境協力

1992年から日本の協力で始まった中国の柳州市大気汚染総合対策調査と広域酸性降下物モニタリング調査は、柳州市の大気汚染総合対策計画の策定に貢献した。天安門事件で凍結された日本の対中国ODA事業の、事件後第一号のプロジェクトとして、100億の無償供与で、北京に中日環境保安センターがつくられた。これらの成果の上に、日本と中国の間で「環境保護協力協定」が結ばれた。大気汚染と酸性雨防止を目的とした技術の交流と移転の試みがされている。

参考文献

原剛(2005)「中国は持続可能な社会かー農業と環境問題から検証するー」同友館/パーツラフ・シェミル 訳者 丹藤佳紀・高井潔司(1996)「中国の環境危機}亜紀書房


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