児童相談員

出典: Jinkawiki

児童相談員とは

 児童相談員とは、児童相談所に勤務する職員のことである。児童相談所は各都道府県、政令指定都市に設置が義務付けられており、現在、全国で180以上の児童相談所が設置されている。そこで子供のあらゆる問題について相談や援助を行っているのが児童相談員である。

 児童相談員は地方公務員であり、児童福祉司と心理判定員に分かれている。児童福祉司は子供を取り巻く環境面から、心理判定員は子供の心理面から、協力しあって相談に応じている。相談内容は様々であり、主に心身障害、養護、非行、健全育成の4分野の相談を受けている。

 児童福祉司は子供や保護者、あるいは学校などから相談を受け、適切なアドバイスを行ないます。必要に応じて保護者と面接したり、家庭訪問を行ない、主に「子供を取り巻く環境」に注目して情報を集め問題の原因を調べていく。一方、心理判定員は、子供と面接して子供を観察したり、心理検査を行なうなど、主に「子供の心の状態や考え」を正しく知り、問題点を探っていく。

 調べた内容を元に、児童福祉司と心理判定員は「どのように子供を援助していけばいいのか」検討していき、ときには経験豊富な先輩に相談したり、専門家や関係機関と連携を取り合ったりする。そして、所長を交えた会議で広い視野で話し合い、最終的に子供に最も適した指導や援助が決定されていくのである。その後も必要に応じて、児童相談員は子供や保護者をサポートしていくことも重要である。児童相談員は、子供や保護者ひとりひとりに深く関わり、子供の健全な成長を助ける大切な仕事をしているのである。


児童相談員になるには

 児童福祉司、心理判定員ともに児童福祉法で定められた資格を必要とする職業で、まず地方公務員試験に合格しなければその職に就くことはできない。さらに、法律に定める次の要件を満たす必要がある。児童福祉司は、「大臣の指定する学校・施設等を卒業するか、大学において心理学等の学科を終了していること」「医師の資格があること」「社会福祉主事として二年以上児童福祉事業に従事したことがあること」のいずれかが必要となるものである。心理判定員は、「医師であって、精神保健に関して学識経験を有する者、またはこれに準じる者」、「大学において心理学を専修する課程を修めて卒業した者、又はこれに準ずる資格を有する者」のいずれかが必要となる。    近年の少年犯罪やいじめ問題、離婚率の増加、また子どもたちを取り巻く環境の変化などによって、自治体などの助けを求めて児童相談所に相談に行く親子は確実に年々増加している。昭和の時代においては減少傾向にあった児童相談所への相談件数が、平成に入ってからは増え続けている。その中でも近年は、児童虐待の相談件数が顕著に増加しているという事実がある。こういった社会の変化にともなって、将来的には児童相談員の社会的ニーズは高まっていくと考えられている。また、子どもに関わる仕事であるため、専門職化していくことも考えられる。

 しかし、現在全国で働く児童福祉司は1600人強である。更に専門職として採用されている人は、その半分以下であるといわれている。少子化の影響もあり採用は頭打ちであり、また、今の採用システムが続く限り、公務員試験に合格しても必ず児童相談員として働くことができると言う保証も無い。その意味では、就職するのはかなり大変であることは覚悟しなければいけない。


参考文献:『介護・福祉の仕事をめざす』深見悦司 成美堂出版 2005

      『初めての児童福祉』櫻井慶一 学分社 2005


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