児童虐待2

出典: Jinkawiki

目次

児童虐待の概念

今日児童虐待は発展途上国と先進国とに分けて考えられている。発展途上国では児童売春や売春の強要、過酷な児童労働などが多いのに対して、先進国では父母、教師などによる心理的又は性的虐待や教育のネグレクトが多い。虐待が世界で広く問題にされたのは1960年代に小児科医のケンペが病院に連れてこられる多くの子どもの怪我が偶発事故によるものでないことに気が付いてからである。ケンペは児童に観られる共通の特徴(硬膜下出血、栄養不良、皮膚の打撲など)を持つ児童を被虐待児症候群と呼び、親などによるそうした行為を児童虐待と世の中に警告した。そして2000年5月に児童虐待の防止に関する法律が成立した。


児童虐待の防止に関する法律

この法律により虐待は次のように定義された。①児童の身体に外傷が生じ又は生じる恐れのある暴行を加えること。②児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。③児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置そのための保護者としての監護を著しく怠ること。④児童に著しい心理的外傷を加えること。ここには従来からの身体的虐待、心理的虐待に加えて性的虐待やネグレクトを加えた4種の形態が虐待とされている。


要因と対策

虐待の要因は大きく3つに分けられる。1つめは家族の社会環境に起因して家族の経済的状況や夫婦関係、地域からの孤立などである。2つめは親自身の成育歴や性格要因、親としての自覚・親意識の有無などである。3つめは親と子の関係性や親の子に抱く意識、子どもの育てやすさなどである。虐待はその形態も理由も単一で起こるわけではなく、こうした原因の複合化として現れるものである。児童虐待問題への段階的対応としては予防→発見→処遇・指導→家族の再統合→自立支援・アフターケアが大切となってくる。ここで気をつければならないのが虐待が行われた家族を分離させるのではなく、家族の再統合が目的であるということだ。また世代間連鎖で虐待を繰り返させないためにも児童相談所などを利用して自立支援、アフターケア体制を広げていくことが重要である。


参考文献

「はじめての児童・家庭福祉」櫻井慶一著


  人間科学大事典

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