十字軍2

出典: Jinkawiki

目次

定義

十字軍とは、1096年~1291年の約200年間、聖地イェルサレム奪還のために主にキリスト教国がイスラム教と戦うヨーロッパの遠征軍である。7回にわたって繰り広げられているが、前半3回と後半4回に分けて考えることが多い。前半は宗教色が強いが後半は政治的・商業的な意味合いが強くなってくる。

原因

十字軍が行われた直接的な原因としては、ルーム=セルジューク朝が東ローマ帝国を圧迫、さらに、聖地を占領し、巡礼を妨害したことがあげられる。もう一つ間接的な要因としてはローマ教皇の権力の拡大における巡礼者の増加があげられる。つまり、教皇がキリスト教的な世界観、世界統合の夢を実現させるのに好都合な時期であったことがあげられる。さらに、封建社会の安定であって、農業生産性の向上により余剰生産物が生まれていため、特に北イタリアの諸都市がアジアへ貿易を拡大させようとしていたことも主な要因と考えられる。


クレルモン公会議

第一回十字軍はクレルモン公会議にて、遠征が決まった。当時の教皇ウルバヌス二世の演説が有名である 「あなた方は東方に住む同期に大至急援軍を送らなければならないということである。ペルシャの住民なるトルコ人がキリスト教徒を攻撃し多くの住民を殺し、あるいは、捕え、教会堂を破壊しつつ、神の王国を荒らしまわっているのである。」 この言葉は多くのキリスト教信者に反イスラム感情を与え、十字軍を加速させる要因となった。


十字軍遠征

第1回  1096年に出発、兵士・巡礼者を含め約10万人、小アジアにてセルジューク朝と戦い、勝利し、アンティオキア・エデッサ等の領地を占領、さらにシリア沿岸を南下し、当時ファーティマ朝の支配下にあったイェルサレムを奪還。その土地のユダヤ人、イスラム教徒を虐殺した後、イェルサレム王国を建国。パレスティナ一帯を領土として獲得した。

第2回 第1回十字軍の後、イスラム勢力が盛り返し、反撃を開始、これを救済しようと第2回十字軍が派遣されたが、あえなく失敗に終わった。

第3回 アイユーブ朝の国王である、サラーフ=アッディーンによって、第1回に建国されたイェルサレム王国が滅びると、これに対し当時の教皇グレゴリウス8世はイギリスやフランスに命を出し、1189年に第三回十字軍を結成、イギリスのリチャード1世、フランスのフィリップ2世、神聖ローマ帝国のフリードリヒ1世による大規模な3大国連合軍になるも、遠征途中フリードリヒ1世が川で溺死、フィリップ2世もリチャード1世も対立した結果、途中で帰国。残るリチャード1世はサラーフ=アッディーンもと最後まで勇猛果敢に戦うも、最後は講和となり、ついにイェルサレムの奪還は果たせなかった。 しかし、この講和でキリスト教信者の聖地巡礼の安全が確保された。

第4回 第4回十字軍は教皇権の絶頂期にあったインノケンティウス3世の提唱で行われたが十字軍船が足りなかったためにヴェネツィアの商人に依頼したのである。しかし、私利私欲にかられた商人は商敵であったコンスタンティノープルを攻めたのである。結果、コンスタンティノープルを陥落・占領した商人はそこにラテン帝国を建国したのである。

第5回 フリードリヒ2世が行った十字軍、戦闘を交えずにイェルサレムを奪還するも、アイユーブ朝の混乱を招き、キリスト教徒の圧迫を開始させたために第6・7回十字軍の必要性を作り出した。

第6・7回 フランス国王ルイ9世の単独行動でおこなわれた。北アフリカのチュニスを地中海帝国再現のために攻めるがルイ9世が陣中で没したためにこれも失敗に終わった。最終的には1291年に十字軍の拠点であったアッコンが陥落したため十字軍は終了した。

現代での「十字軍」の意味における諸問題

近年の十字軍といえば、様々な解釈はあるが、問題となるのが「対イスラム国」という意味合いである。2015年2月に起こった「日本人拘束事件」においてイスラム国側は日本に対し「あなたは自ら進んで十字軍への参加を志願したのだ」とある。つまり、イスラム国による解釈は「イスラム国に敵対する全ての国」=十字軍ととれる。 また、赤十字社のマークにも違和感を覚えるイスラム教信者も多く、イスラム圏では十字軍に対しては嫌悪感がぬぐえないのが現状である。


参考文献

『スパッとわかる世界史』 著者 佐藤幸夫  出版社 ナツメ社

『イスラームから見た「世界史」』 著者 タミム=アンサーリー  訳 小沢千重子   出版社 紀伊國屋書店



参考ウェブサイト 

http://www.asahi.com/articles/ASH1N5VLZH1NUHBI01T.html

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/report/96/index1.html


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