合掌造り

出典: Jinkawiki

目次

概要

1995年にユネスコの世界遺産に指定され、集落景観の保全がなされることとなった合掌造り。その名前の由来は、屋根の形が手のひらを合わせた(合掌した)形に似ていることからきている。

特徴

屋根は固定されず、1階の梁の上に乗せられている。カヤ屋根と合掌部分は釘を使わずにネソ(まんさくの若木)を使って結び付けられている。囲炉裏の回りは屋根をいぶし、年月を経るごとに繊維が縮んで固くしまり丈夫になっていく。それとともに、防虫・防腐作用も果たしている。屋根のカヤは村人の共同作業により葺き(ふき)替えられていた。
屋根の傾斜は、雨雪を容易に落下させるためである。合掌造りのある場所は、豪雪地帯なので軒下には融雪用の池や水路も設けられている。また火事による類焼を防ぐために、農機具などを収容する付属施設も少ない。


課題

  1. 人口減少 
    1. 屋根材となる良質なカヤの安定的な確保が困難となったこと
    2. 屋根が高いため冬の寒さが厳しく、高齢者にとっては雪下ろしは危険
    3. 火事にも弱く、囲炉裏を使わない生活では屋根の耐久年限が大幅に短くなった
  2. 生活環境面 
    1. 交通渋滞やゴミ問題
    2. 住民の自宅の改修にも厳しい制限
    3. 観光客が住民の住む家をのぞくなどのプライバシーの侵害


世界遺産登録までの歩み

白川郷

1965年(昭和40年)
  白川村内小集落の集団離村を始め合掌家屋の減少が著しく、地域住民の保存意識・運動が高まる

1971年(昭和46年)
  「萩町集落の自然環境を守る会」発足。合掌家屋を「売らない」「貸さない」「壊さない」の
  3原則の住民憲章を策定し、保存運動を推進

1976年(昭和51年)
  白川村伝統建造物群保存条例を制定。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定される

1987年(昭和62年)
  合掌集落の保存に必要な経費を捻出するため、白川村伝統的建造物群保存地区保存基金条例を
  制定し、翌年から募集を開始する

1991年(平成3年)
  国の重要伝統的建造物群保存地区選定15年・守る会発足20周年記念行事を開催

1992年(平成4年)
  世界遺産の一覧掲載物件として、文化庁からユネスコへ推薦される

1995年(平成7年)
  ドイツ・ベルリンで行われたユネスコ世界遺産委員会で登録決定、同月9日、世界遺産の
  一覧表に掲載


参考文献

  • 「現代地理学入門」 高橋伸夫・内田和子・岡本耕平・佐藤哲夫編 2005 古今書院  
  • 財団法人合掌造り白川郷保存財団ホームページ http://shirakawa-go.org/zaidan/

  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成