地産地消

出典: Jinkawiki

地産地消とは、「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味で言われている。 近年、消費者の農産物に対する安全・安心志向の高まりや生産者の販売の多様化の取組が進む中で、消費者と生産者を結び付ける「地産地消」への期待が高まってきている。


地産地消の位置づけ

地産地消とは、地域で生産されたものをその地域で消費することだが、国の基本計画では、地域で生産されたものを地域で消費するだけでなく、地域で生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結び付ける取組であり、これにより、消費者が、生産者と『顔が見え、話ができる』関係で地域の農産物・食品を購入する機会を提供するとともに、地域の農業と関連産業の活性化を図ることと位置付けている。 産地から消費するまでの距離は、輸送コストや鮮度、地場農産物としてアピールする商品力、子どもが農業や農産物に親近感を感じる教育力、さらには地域内の物質循環といった観点から見て、近ければ近いほど有利である。 また、消費者と産地の物理的距離の短さは、両者の心理的な距離の短さにもなり、対面コミュニケーション効果もあって、消費者の「地場農産物」への愛着心や安心感が深まる。それが地場農産物の消費を拡大し、ひいては地元の農業を応援することに繋がる。さらに高齢者を含めて地元農業者の営農意欲を高めさせ、農地の荒廃や捨て作りを防ぐことにもなる。結局、地場農業を活性化させ、日本型食生活や食文化が守られ、食料自給率を高めることになるのである。 しかし、生産地で消費する距離が短いということだけではなく、距離に関係なく、コミュニケーションを伴う農産物の行き来を地産地消ととらえることも可能である。また、地産地消は、地域で自発的に盛り上がりをみせてきた活動で、教育や文化の面も含んだ多様な側面を有しており、固定的、画一的なものではなく、柔軟性・多様性をもった地域の創意工夫を活かしたものとなることが必要である。 地産地消の主な取組としては、直売所や量販店での地場農産物の販売、学校給食、福祉施設、観光施設、外食・中食、加工関係での地場農産物の利用などが挙げられる。


地産地消の類型

地産地消の活動としては、従来、農産物の直売所が代表的なものと捉えられてきたが、実際には各地で様々な創意工夫がなされて盛り上がっており、地場農産物の加工、学校給食、外食産業や観光関係での地場農産物の利用など、その活動内容は多彩である。 地産地消の活動内容を分類するに当たって、①距離の遠近という基準と②コミュニケーションの程度の濃淡程度という基準によって類型化を試みると、一般に距離が近いほどコミュニケーションの程度も濃くなる傾向が見られる。しかしながら、中には無人直売所にみられるように距離が近くてもコミュニケーションが薄いものもあるなど一定ではない。


愛媛県今治市の地産地消

毎日新聞・地方自治大賞最優秀賞にも選ばれた愛知県今治市では、20年前から食の安全を第一に考えた「地産地消」に取り組んでいる。単なる「地域内生産、地域内消費」だけではなく、健康増進や農業振興、地域経済の活性化につなげる取り組みで、それを象徴するのが学校給食である。今治市は83年から、老朽化した大規模給食センターを自校式調理場へと切り替え始めた。現在は市内13カ所の調理場で、1日約1万食を供給している。また、食材に地元産農産物を優先的に使用。特に立花地区の3調理場で作る約1700食分については有機農産物を導入した。現在、有機農産物の導入率は重量比で約60%になっている。これらは、当時の消費者グループと有機栽培農家などが、熱心に住民運動を行った結果である。「子や孫に自分たちの作った安全で新鮮な食材を食べさせたい」という損得抜きの思いが、取り組み推進の大きな力になった。使っている有機農産物は野菜だけではない。農薬・化学肥料を50%以上削減した今治産の特別栽培米、地元産小麦100%で製造したパン、地元産の大豆で作った豆腐なども使用している。 また、日本農業新聞04年6月27日付によると、愛媛県今治市は、「おうちで手軽に学校給食-地産地消のれしぴ」を発行し、市内小中学校に800部を配布、「いまばり地産地消推進会議」が、市内の書店で1部500円にて販売している。すべて学校給食に登場する郷土料理や地場産品料理で、地元食材購入先や連絡先も掲載している。


参考文献

・食育のすすめ  野池元基著 川返書林 

・学校給食ニュース:時事情報2004年食教育関係  http://gakkyu-news.net/jp/060/061/2004_3.html


(投稿者:TR)


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