日中戦争

出典: Jinkawiki

目次

概要

1936年7月7日、北京郊外の盧溝橋付近で日中両軍の間に偶発的な衝突が起こる。一度は停戦協定を結ぶが、当時の近衛内閣は軍部の圧力に屈して兵力を増員、戦線を拡大した。中国側も断固たる光線姿勢を取ったため、戦闘は当初の日本側よりもはるかに予想を超える前面戦争へと発展した。当初は日本側の優勢で、中国軍は後退を続けながらも抗戦をした。開戦から約4ヶ月で首都南京を攻略した。ここで日本軍は市内外で略奪や暴行を繰り返し、大勢の一般市民などを殺害した(南京大虐殺・南京事件)。中国の国民政府は首都を南京から漢口、そして重慶に移し、徹底抗戦の構えを示し、泥沼の長期戦へとなった。首都を攻略すれば戦争は短期決戦で終わるとみた軍部にとっては大きな誤算であった。補給物資がほとんどない日本軍は厳しく、自給自足を強いられる。中国軍は米英などからの物資搬入路である援蒋ルートを通じて援助を受け、持久戦に備えた。


盧溝橋事件

日中開戦のきっかけとなってしまった事件である。昭和12年7月7日の夜、北京郊外の盧溝橋付近で日本軍が軍事演習を行っていた。そこに十数発の小銃弾が撃たれた。未だ誰が撃ったのかはわかっていない。誰が撃ったのか、3つの説がある。一つは中国軍が日本軍に対して撃った。二つ目は日本軍が中国軍の仕業だという偽の状況を作った。三つ目は中国の一般市民が日本軍に向けて撃った。発端は未解決のままだが、どの説も考えられる。中国からしてみれば、日本の軍隊が自分たちの領土で軍事演習を行っていることは迷惑である。そして日本軍の疑惑も、満州事変の例があるため考えられる。現在わかることは、ここから戦争が開始してしまったということである。この事件の死者は日本発表で20万から30万、中国での発表は30万と大きな差がある。しかし川を埋め尽くすほどの死体があったことから、正確な状況を把握できなかったのだと考えられる。



戦争は防げなかったのか

盧溝橋事件をきっかけに開戦をしてしまったが、一度は停戦協定が成立している。日中戦争開戦前から日本は迷走していた。ワシントン体制へ戻るか、それとも戦線を拡大し東亜新秩序を確立するのか。結論が出ないまま開戦してしまったのである。止める機会はいくつかあった。一つは停戦協定成立後、近衛内閣は不拡大方針を示していた。この決定通りならば、一つの事件で終わっていた。しかし、二・二六事件や、五・一五事件など、軍部の圧力を内閣が大きく受けていた。内閣の権利をもっと確保していれば、あるいは軍部と同等という立場が必要であった。もう一つ考えられるのは、持久戦に対応できないことをすぐに察知するべきであった。日本は長期の戦争を経験していない。日清、日露戦争は約1年、第一次大戦は日本は中国のドイツ領を攻撃したのみで、何年もの戦争は初だった。自給自足の戦闘は困難であった。日本軍の死者は戦闘でも多く亡くしたが、餓死者の数も非常に多い。そこの認識力が足らなかったのである。そして終結出来ないまま、日本は1940年に日独伊三国同盟を結び、これをきっかけにアメリカが対日石油・鉄の輸出禁止を決める。資源の大半をアメリカに依存していたため、日本にとっては大きな打撃であった。アメリカからは、三国同盟からの離脱、中国からの撤退を要求された。ここでも戦争を止める機会があったのだが、日本はこれを黙殺し、対米戦へと意識を向けてしまう。

なぜ中国を狙ったのか

日本は戦争になることを見越して、資源を蓄えてはいた。しかし長期的な戦争は想定してなく、資源が厳しくなる。また一番の理由としては不況への脱却である。第一次世界大戦中、日本は大戦景気でよかったが、その後戦後恐慌や関東大震災による震災恐慌、金融恐慌や世界恐慌と度重なる恐慌で国は混乱していた。戦争をし、領土を得れば、資源も増え、賠償金も手に入ったが、第一次世界大戦後に国際連盟が発足し、その後ワシントン会議やロンドン海軍軍縮条約など、戦争を起こさせないような決まりや話し合いが続けられた。恐慌を迎え、領土を多く保有するイギリスやフランス、大国のアメリカなどは対策を講じることができたが、敗戦国のドイツや領土がないイタリヤ、日本は対抗策がない。そこで日本は満州事変を起こした。当時の日本にとって満州は「生命線」というほど重要な拠点であると考えていた。国内の農業も衰退傾向で、食料の問題もあり、広大な土地での農業を求めて日本人が満州へと向かった。満州を拠点として中国へは近いため、兵隊を送り込みやすいという利点があった。



参考・引用文献

十五年戦争史 日中戦争 藤原彰・今井清一  青木書店

日中戦争下の日本 井上寿一 講談社

詳細日本史  山川出版社

20世紀フォトドキュメント 戦争の記録 第10巻

日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ 小林英夫 講談社

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