環境問題20
出典: Jinkawiki
環境問題について
EUが環境問題への取りくみを本格化させたのは1972年のパリ欧州理事会からだった。これを受けて1973年に第一次環境行動計画(EAP)を宣言し、域内環境対策の基本方針を示した。現在は「第六回環境行動計画」へと引き継がれている。この間、1987年の単一欧州議定書により始めて環境に関する規定を正式にEC条約に盛り込んだ。同174条はEUの環境政策の目的として、
① 環境の質の保存および保護
② 天然資源の賢明かつ合理的な利用
③ 人間の健康の保護
以上の三つを挙げた。環境政策の原則としては、
I) 予防原則
II) 事前警告原則
III) 発生源抑止原則
IV) 汚染者負担原則
が明記されている。この中で注目されるのが、環境破壊が現実に引き起こされる前に対応措置をとる予防原則で、科学的確証がなくても、危険性が十分疑われるならば、使用や販売を止めることになった。地球温暖化防止のための二酸化炭素排気規制や、オゾン層破壊防止のためのフロンガス規制などEUのすべての政策、活動には環境配慮を義務付ける条項も入った。リスボン条約の中には市民の基本権の一つとして環境権が明記されている。
現行のEAP6は
① 気候変動(地球温暖化問題)
② 自然と生物多様の保護
③ 天然資源と廃棄物
④ 環境と健康・生活の質
の4点を最重要課題と定めている。 地球温暖化問題では、EUは京都議定書の下で二酸化炭素などの温室効果ガスを1990年比で2008年〜2012年に8%減らすように求められているが、省エネなどが進んだこともあり、目標を達成する見込みである。
参考文献
村上直久(2009)『EU情報事典』大修館書店
藤井良広(2002)『EUの知識(新版)』日本経済新聞社