知的障害
出典: Jinkawiki
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知的障害とは
日本では長い期間、知的障害に対して「精神薄弱」という用語を用いていた。しかし、「精神薄弱」という用語は、差別や偏見につながると本人をはじめ保護者や支援者などが改正を求め続けてきた。そのような長年の訴えに応える形で、平成11年「精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律」が制定された。これにより、「精神薄弱」に代わって知的障害が使われるようになった。しかし、改正に際し、知的障害の概念ないし定義は、その基本法ともいうべき知的障害者福祉法にも明記されておらず、法律の対象者が規定されていないという現状にある。ただ、一般的には国際的に共通の認識となっている「精神遅滞」とほぼ同義の用語ととらえることができる。
知的障害の定義
知的障害の定義として文部省が最初にあらわしたのは、昭和28年の「教育上特別な取り扱いを要する児童生徒の判別基準」にみることができる。そこでは、「いろいろの原因で精神発育が恒久的に遅滞し、このために知的能力が劣り、社会生活への適応が著しく困難なものをよぶ」とされ、知的障害は「精神発育が恒久的に遅滞」している状態であるとされていた。それが平成7年の文部省初等中等局特殊教育課「就学指導資料」において、「発達期におこり、知的機能が低く、適応行動の困難性を伴う状態」で、「発育上の遅れまたは障害の状態は、ある程度持続的なものであるが、絶対的に不変で固定的な状態ということではない」すなわち「教育的・治療的対応を含む広義の環境条件を整備することによって、障害の状態はある程度改善されるもの」であると説明をつけている。
原因
原因にはいくつかの整理法がある。①原因が生じた時期による整理、②原因の特定の有無による整理などがある。①では「先天性」と「後天性」とに分けて整理する考え方である。②では、原因の特定ができる「病理型」と特定ができない「生理型」とに分けて整理する考え方である。
症状
知的障害は知能だけが劣っていると考えられがちであるが、精神の機能を記憶能力、判断能力、推理能力、感情、意志、思考などと分けて考えると、感情や意志などにも障害をともなうことは容易に理解できる。知的障害の一般的な心理・行動特性としては、受動性、依存性、低い自己評価、欲求不満に対する耐性の低さ、攻撃性、衝動制御力の乏しさ、常同的な自己刺激的行動、自傷行為などがある。このほかにも知能水準によっていくつかの特徴がみられる。 er
参考文献
特別支援教育の基礎知識 橋本創一 霜田浩信 林安紀子 池田一成 小林巌 大伴潔 菅野敦 明治図書 2006年
知的障害の心理学 小池敏英 北島善夫 北大路書房 2001年