福祉国家3

出典: Jinkawiki

1.福祉国家の成立  20世紀に入り、選挙権を獲得したイギリスの労働階級は、政党による合法的活動によって自分たちに有利な社会改良的政策を実現していった。1908年には無拠出老齢年金法、1911年には、健康保険や失業保険を内容とする国民保健法を成立させ、長い間続いた救貧法の劣等処遇の原則に終止符を打ち、「夜警国家」から「福祉国家」へと転換した。しかし、1920年代末のアメリカを端とした世界大恐慌の嵐は、社会保険を破綻させ、イギリス国民に大きな不安を与え、包括的な社会保障の必要性を強く感じさせるようになった。また同時に、社会保障に充実は、間もなく始まる第二次世界大戦に国民を総動員するためにも必要な措置であった。

2.福祉国家の特徴  福祉国家とは、夜警国家のように国が防衛と治安維持のみの機能を持つのとは全く異なり、国民のうち、特に社会的・経済的な弱者の立場を改善したり、また救済したりするために社会保障制度を充実させるなどするような国家の枠組みを指す。このように、国民の生活に対して深く関与してくるため、「大きな政府」とも呼ばれる。 福祉国家の主な特徴として、国が主導で社会保険や年金制度といった社会的なセーフティネットの構築や充実を重視するという点が挙げられる。また、これに加えて労働政策における雇用の充実や、弱者救済のための財政出動に関しても積極的な場合で用いられることもある。なお、福祉国家は世界的に経済成長がみられた50年代から70年代にかけて発展傾向にありましたが、70年代に発生した石油危機が引き金となって経済成長の終わりによって税収が減少傾向に転じると、再び小さな政府が目指されるようになったのに伴い、影をひそめるようになった。


(参考文献) 『福祉国家の歴史と変容』(https://www.waseda.jp/student/shinsho/html/71/7118.html)

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