緑化
出典: Jinkawiki
緑化
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緑化の目的
・環境修復・環境修復:砂漠化している地域では植生がまったくないか、ほとんどない。しかし、砂漠化した地域はもともと砂漠地帯ではなかったので、そこに植生はあったと思われる。それを復元しようという試み。決して元の状態以上に植物を植えようとか、大きく効率よく育つ木だけを植えようとするものではない。その土地、気候に合った樹種を植栽し、一時ではなく恒久的に続く自然を目指す。環境にあった育林を進め、土地によって微妙な環境の違いを考慮した育林が必要である。
・生活資材・生活資材:草地の再生で牧草を増産。農地の修復で作物生産を再開。農業生産の拡大が雇用の創出になり、仕事があれば労働力が必要であるし仕事があるなら地域から都市部へわざわざ出稼ぎに行かなくてもよくなるかもしれない。そうなると労働力の流出に歯止めをかけられる。地域社会の安定と発展に寄与。育てた樹木は建築の際に使用する建築材になり、日常的に生活で使用する薪炭にもなる。見て眺める緑というところにとどまらず、生活の一部としての緑にする。
乾燥地での農業
牧草地を含めて、農地は高い生産力を持つ人工的なシステムであるから、使い続ければ土地は疲弊し砂漠化する。生産物に土地の養分を吸い取られ、その生産物は収穫されてしまうため、人為的な力で外から栄養を入れてやらなければならない。さもなければ、大洪水や、天災によって養分が運ばれてこない限り、土地はやせる一方である。
農業では1.自然の草地を利用した牧畜、2.降水にだけ依存した降雨依存型農業、3.灌漑農業の3つが挙げられる。降水量が多ければ1と2、少なければ1と3、極端に少なければ降雨に期待がもてず、手を加えなければ土地がやせるので3しかない。
ただ、その地域や土地によって伝統的な農業が続いているところがある。それは、先祖たちが経験を元に気候や地形などに合わせて効率よく改良されているものであるので侮ってはならない。科学的に効率が良いとされているシステムでも、場所によっては通用しないことがある。新しい農業技術をつかうのか、伝統的な農業を継続しつつ改良を加えるのかなどの計画は土地にあった方法を良く考えた上で決断される。
1.牧畜:年降水量がおおむね400~600mm以下の地域で多く行われている。アジアでは亜寒帯のステップが典型的。遊牧、定着放牧、大規模な企業的牧畜など形態は様々。どの形態においても、牧草の量と家畜頭数の時間差が重要な課題になる。また、家畜の好む多年生草本は極端に減少し、家畜の好まない一年生草本ばかりになってしまうという危険もある。
2.降雨依存型農業:雨が降る時期によって必要な降水量は変わってくる。例えば、サヘル地帯のような夏に多雨な半乾燥地の場合は400~500mm以上、地中海のような冬に多雨な土地は、冬小麦の生育時期と重なるため、降水を効率的に利用可能であり、200mm程度降れば農業は可能である。雨が十分に降るので、化学肥料を使うことよりも、いかに水を地中にためておくかに重きが置かれる。深くまで水が浸透していれば、乾季にも十分な水分が保持できるため、土地を深くまで掻き起こし雨水を浸透させる工夫がなされている。
3.灌漑農業:降水がほとんどなく、オアシスの水を使う必要があるが限られた場所にしかないため、砂漠地帯の4%に満たないところでしか行われていない。灌漑は植生を復活させ農業生産を増加させるといわれているが灌漑水量の管理がその鍵を握る。誤ると地下水位が上昇したり塩分濃度が高くなってしまう。
緑化のための技術
1.水利用:降水が地下に浸透する前に斜面上で水を収集するなどのウォーターハーベスト(技術)を利用する。地下に浸透し地下水になった後、井戸で掘り出すという方法もある。あるいは灌水。水の蒸発や漏水によって水を失わないように、利用する場所の近くで灌漑施設を作り送水リスクを抑えるとか、降水を早く地中に浸透させて蒸発を防ぐやり方もある。
2.流砂固定:砂漠独特な条件として砂の移動がある。砂嵐の原因となり、住居や畑をおおい、交通機関にも影響を与える大きな課題である。そのために、防砂林を植える。自然な樹木の障壁がないところには、植樹をして防砂林という壁を作る。高い木を密に植えると思われがちだが、実際はできるかぎり高い木を、一定の間隔をもって植える。樹高の2.5倍の高さまで効果があるため極端に背の高い木でなくても効果を上げられる。
また、植林によっても砂丘固定が可能で、その場合は砂丘の風上側のすそに背の低い灌木や多年生草本を植栽する。
参考文献
吉川賢・山中典和・大手信人編『乾燥地の自然と緑化―砂漠化地域の生態系修復に向けて―』共立出版 2004/4/25
B.W.ピプキン・D.D.トレント著 佐藤正・千木良雅弘監修 全国地質調査業協会連合会環境地質翻訳委員会訳『シリーズ 環境と地質 第Ⅳ巻 地球環境と社会』古今書院 2003/11/22
written by oimo