風邪
出典: Jinkawiki
かぜ症候群
「かぜ」は鼻腔、咽頭から気管支、肺までに起こる急性の炎症の総称で、主に上気道に起こる。原因の80~90%はウイルスで、10~20%はほかの細菌や冷気、乾燥、室内塵などで起こる。粘膜は乾燥すると抵抗力が弱まり、ウイルスは、乾燥や低温で毒力を増す。その症状も様々で、「かぜ症候群」といわれ、比較的、症状の軽い「普通感冒」と、インフルエンザウイルスによって起こり、発症の急激な「流行性感冒(インフルエンザ)」に分類される。「普通感冒」は、主にライノウイルスやコロナウイルスなどで起こり、鼻かぜといわれるものである。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、せき、たん、のどの痛みなどの呼吸器症状と、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛みなどの全身症状が主な症状である。なお、下痢、腹痛、倦怠感などを伴う場合があるが、あまりひどくはない。一方、「流行性感冒」は、急に発熱し、頭痛、腰痛、筋肉痛、倦怠感など、全身症状が最初に現れるのが大きな特徴で、それとほとんど同時か、やや遅れて、せき、たんなど呼吸器症状が出る。 炎症とは、体の防御反応で、細菌やウイルスなどが外界から進入すると、体の防御機構が働き、外的を退けようとする。その戦いが「炎症」である。急性炎症には、紅(赤くなること・発赤)、腫(腫れあがる事・腫脹)、熱(熱を持つこと・熱感)、痛(痛みを感じること・疼痛)の4つの徴候と「機能障害」がある。「カタル」とは、分泌が異常に高まった粘膜の炎症である。
風邪の11症状
○鼻水・鼻汁
鼻腔の粘膜にウイルスや細菌が侵入すると、粘液分泌が増加するとともに血管が拡張し透過性が高まり、血液中の水分が鼻腔内に滲み出してくる、これらが鼻水や鼻汁である
○鼻づまり
炎症によって鼻粘膜の腫脹と分泌液の滞留によって、鼻腔がつまった状態
○くしゃみ
急に冷たい空気を吸い込んだり、ウイルスや細菌などが進入すると、鼻粘膜が刺激されて起こる
○のどの痛み
かぜでのどが痛んだり、赤く腫れたりするのは、白血球などの生体防衛隊が、かぜウイルスが戦っている証拠。成長期には扁桃が最も大きく肥大しているため、かぜなどの感染に際 して最初の反応の場となり、よく扁桃を腫らしたりする。のどとは、咽頭と喉頭をさした言葉である
○たん
気道粘膜の分泌は、かぜの症状が進むにつれて活発になり、たんとして喀出される。始めは水様の液体だが、次第に粘秱度が増す
○せき
・せきの起こるしくみ
寒冷、異物や炎症による気道粘膜の刺激や気道支筋(平滑筋)の収縮などにより、延髄にあるせき中枢が興奮し、せきが起こる
・せきの種類
喉頭、気管の機械的あるいは化学的刺激によって起こる、たんの出ない乾性せき(からせき)と、下気道の炎症などによって起こるたんを伴う湿性せき(湿ったせき)とがある。なお、湿性のせきは、気道に侵入した異物をたんとして排除する働きがある。強いせきは、1回約2kcal消費し、1分間に1回の割合で10時間も続くと、約1200kcalとなり、体を消耗する要因となる
○その他
頭痛、発熱、悪寒、筋肉の痛みや関節の痛みが起こる
かぜの合併症
○咽頭炎・喉頭炎 風邪ウイルスなどが、咽頭や喉頭を冒し炎症を引き起こしたもの。炎症により、粘膜が腫れると、ものを飲み下したり、声を出すときに痛み、声がかすれたりなど様々な症状が起こる
○気管支炎 かぜが気管支に及んだもので、そこに最近が感染してくる場合が多い。主な症状はせきとたん、熱が出るものもある
○肺炎 細菌で起こるものと、ウイルスなどによって起こるものがある。熱が高く、長く続き、せき・たんを伴い、呼吸困難、胸痛などの全身症状が強まる。特に小児や老人がかかりやすい病気
参考文献
新訂目で見るからだのメカニズム 堺章 医学書院
さよなら!不快症状 知って安心風邪対策 小菅 孝明 旬報社
N・N