お雇い外国人2

出典: Jinkawiki

明治初年、近代技術・制度移入のため雇用された外国人

明治維新前後、幕府・諸藩が外国人を招いたが、廃藩置県後は政府・府県・民間団体が受け継いだ。官庁雇用外国人教師は1872年214人、’75年には527人にも達し、日本の近代化に寄与した。

おもなお雇い外国人

キンドル イギリス 大蔵省造幣寮 1045円

ケプロン アメリカ 開拓使 833円

モレル イギリス 工部省鉄道局 850円

カーギル イギリス 工部省鉄道局 2000円

ブリューナ フランス 民部省 1530円


※ちなみに太政大臣三条実美の月俸は800円


お雇い外国人(教師)


ボアソナード フランス 法学者 法典編纂(民法など)

キヨソネ イタリア 画家 紙幣原版

ナウマン ドイツ 地質学者 フォッサ・マグナの発見

ベルツ ドイツ 医学者 東京医学校行使

フォンタネージ イタリア 画家 工部美術学校創設

ミルン イギリス 地震学者 日本地震会の創設

クラーク アメリカ 科学者、教育者 札幌農学校の創設

モース アメリカ 動物学者 進化論を紹介

フェノロサ アメリカ 哲学、美術史家 東京美術学校の創設

ロエスレル ドイツ 法学者 明治憲法作成に参画

リース ドイツ 史学者 史学研究法の確立


参考

編集代表:外園豊基 「最新 日本史図表」 第一学習社 石井進 五味文彦 笹山晴生 高埜利彦 「詳説 日本史」 山川出版社


エドマンド・モレル

エドマンド・モレル(1841~1871)は、後に日本における「鉄道の父」と呼ばれるようになった、お雇い外国人として来日したイギリス人である。彼の尽力により、日本の鉄道産業は著しく成長したのだが、肺結核によって29歳の若さでこの世を去った。しかし彼の功績はこれだけに留まらない。彼は伊藤博文に西洋諸国の公共事業の仕組みを説明、そのための専門機関を日本でも開設すべきだと力説した。それによって「工部省」が設置された。さらに近い将来、日本は外国人の手を借りずに公共建設事業をこなすことができるようになるべきだという提案をして、工部省に工学寮(のちの工部大学)が設置され、彼の死後も学生の教育が行われお雇い外国人の数も年々減少していったのである。


アーチボルド・L・ダグラス

アーチボルド・L・ダグラス(1842~1913)は、「イギリス海軍派遣教師団長」として来日し、日本海軍の基礎固めに尽力した。彼はスコットランド系移民の子供で、カナダのケベックで誕生した。14歳でイギリス帝国海軍に入り、苦労の末に士官へと上り詰めたいわゆるたたき上げである。そのためかイギリス海軍の「身分制」に強く惹かれていた彼は、古典的なジェントルマン教育に固執していた。この基本方針のために士官と下士官、兵との間には平時における生活内にまでも差別化が徹底され、高い壁が作られることとなった。あくまでエリートを育てるジェントルマン教育に徹底した彼は、イギリスのパブリックスクールの教育を模倣した。学科としては英語と数学を重視したが、他に体育が奨励された。当時のイギリスのパブリックスクールのジェントルマン育成において、体育は重要な要素であった。


イギリスのジェントルマン教育

前述のモレル、ダグラスの二人のお雇い外国人は、どちらもイギリスからの来日であったが、双方に関連するキーワードが、「ジェントルマン教育」である。しかし二人のジェントルマン教育への関わり方は正反対と言える。モレルが行ったのはむしろジェントルマン教育の否定であった。彼の工部大学への功績は、伝統的で古典を重んじる教育をマイナスに捉えて行われたことである。当時、イギリスではパリの万国博覧会などで欧米諸国の技術水準が自国のものに追いつく勢いであることが知れ渡り、「世界の工場」の自負心に傷がつくこととなった。それと同時にイギリス国内の技術教育のありかたに対する不満の声も高まって行った。モレルの中にもそのような思いがあったとも考えられる。逆にダグラスのほうは、ジェントルマン教育に忠実であった。彼自身がエリート士官であり、彼の教育もまたエリートのためのものであったことは言うまでもない。その甲斐あってか広瀬武夫、秋山真之などの優秀な士官が生まれた。しかし彼の教育は大変に差別的であったために、マイナス点も多かった。この対照的なふたりの姿勢から、イギリスが抱える社会構造の根本的な歪みを読み取ることができる。近代化、工業化をもたらすジェントルマンの功績は、ただイギリスの「世界の工場」や「七つの海を制覇する海軍国家」というようなイメージの増幅に一役買ったのみであった。

参照:日本人とイギリス-「問いかけ」の軌跡 著今井宏 ちくま新書

HN:くるくる


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