公事方御定書

出典: Jinkawiki

   公事方御定書とは、享保の改革の中で編集された江戸幕府の基本刑法典。1742年8代将軍徳川吉宗が三奉行に命じ、従来の判決例を調査させ、初めて成文法の公事方御定書を制定させた。これは、上巻と下巻からなり、上巻は司法警察関係の法令81条、下巻は刑法・訴訟法の規定など103条が記されている。下巻は御定書百箇条と言われた。


概要

  徳川吉宗が公事方の実務のための刑事法典と民事法典の編纂を1720年(享保)に試み、1724年に「享保度法律類集」として提出したが、これをいま一度整備したのが公事方御定書である。これには、吉宗が主に庶民を対象とする法典の編纂を計画し、寺社奉行牧野貞通、町奉行石河長朝、鑑定奉行水野忠伸が作業を担当した。 上巻には裁判や刑罰に関する基本法が定められている。下巻は、享保年代評定所の決定を集めたものである。御定書百箇条は、幕府支配化の公布するものではなく、一般人民対象のもの、一部下級武士に適用されたものであった。また、これは御触書寛保集成編纂と同一時代に作られている。  実際の裁きの中では、この御定書に記された刑罰に、情状を考慮して量刑に軽重が加えられたという。


主な条文

 盗みを行ったもの者に対する処罰のこと。

一、人を殺して盗みを行った者  罪人を引いて歩き見せしめにした上で、さらし首

一、追いはぎを行った者     さらし首

一、身近にあった金品をふとした気持ちで盗みとった者

現金で十両以上、物品は金額で見積もって十両以上の場合 死罪

現金で十両以下、物品は金額で見積もって十両以下の場合 入れ墨または鞭打ちの刑

                                        (徳川禁令考、現代語訳)



参考文献・参考URL

精選日本史史料集 第一学習社

http://www.pat.hi-ho.ne.jp/hirosilk/y241.htm


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成