冷害

出典: Jinkawiki

夏の気温が低く農作物の生育がうまくいかない気象災害のひとつである。 冷害はおよそ三つの型に分けられる。イネの茎葉の繁茂する栄養成長期に、低温寡照(かしょう)で生育が遅れ、十分に実らないうちに秋になってしまうものを遅延型冷害といい、イネの穂の生育期、とくに減数分裂の時期に急に低温になり、受精が不十分なために米が形成されない型を障害型冷害という。またイネの生育期全般にわたって気温が低く、これらの二つの型が同時におこる型を併行型冷害という。被害のもっとも大きいのは、併行型であり、ついで障害型、遅延型の順である。近年の大きな冷害は、1980年(昭和55)、93年(平成5)、2003年が平行型冷害であった。とくに、93年の冷害は「平成の大冷害」ともよばれ、沖縄を除く全国で冷害の被害があり、東北地方を中心とした米の凶作により、米の緊急輸入という事態となった。また、2003年は全国的に冷夏であったが、西日本は残暑で生育が回復したものの、東北地方の太平洋側と北海道では冷害が発生した。

歴史的にみてもっとも大きい冷害は、1695年(元禄8)、1755年(宝暦5)、1783年(天明3)、1838年(天保9)で、いずれも大飢饉(ききん)となり、東北地方の人口はこのために3分の1を減じたという。

明治に入っても冷害が頻発し、昭和の初期にも多くおこった。このように冷害はある時期にまとまっておこることがあり、これを凶作群という。火山の大爆発による火山灰や、汚染物質の空気中への停滞などが、地球上への太陽の日射を阻害し、冷害の誘因となるといわれている。

参考文献 地理用語の基礎知識(古今書院)      地理ハンドブック(東進ブックス)


  人間科学大事典

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