国際成人力調査

出典: Jinkawiki

国際成人力調査

経済協力開発機構(OECD)は、これまでデータがほとんどない、「成人が社会で必要とされる能力」を図る初の世界的調査「国際成人力調査」を2011年に実施する。ODECが各国の成人力調査に乗り出すのは、労働市場の流動化や高齢化、情報通信の技術革新など世界共通の課題に対応できる「普遍的な大人の学力」を定義し把握することが重要だという認識があるためだ。日本でも中央教育審議会が08年、生涯学習の振興策のついて答申で、「変化の激しい社会に対応する総合的な力について情報収集することは意義がある」として、こうした調査の重要性を指摘していた。日本としても、国際教育への参加を重ねれば、「世界基準」と比べて優位な点や、逆に教育の問題点や課題を浮き彫りにでき、質の高い労働力確保につながるだろう。国立教育政策研究所では、来年の予備調査を前に25か所で試行調査を行い、任意の訪問調査で2時間程度もかかるために断られるということもあったという。日常生活や収入、学歴などにかかわる質問に対象者が抵抗を感じることも考えられる。調査の意義や、情報管理の徹底を説明するなど、理解と協力を得るための啓発活動が重要になる。


日本の大人の学力

日本も、文部科学省の国立教育政策研究所が主体となり調査に参加し、「日本の大人の学力」の把握と国際比較に乗り出す。結果は13年度に世界同時公表される見込み。OECDでは、世界の15歳を対象にした「国際学習到達度調査」を実施しているが、ピアックは、日本、アメリカ、イギリス、フランス、フィンランド、韓国など計25カ国が参加。16~65歳を「成人」とし、各国で無作為に抽出された男女5000人に調査員が直接面接、パソコンを使って出題する。同研究所によると、問題は「読解力」や「数学力」では、世界の気温変化が示された図の情報を分析するなど、文章や図表から情報を理解し、活用する力などを図るという。一方、IT能力調査では、たとえば「ウェブ上の情報を確認して自分のスケジュールを調整し、メールをする」といった指示を受け、調査のため独自に作成されたメールソフトなどを使って「回答」する。ほかに、学歴、職歴、収入のほか、職場で求められている技能の内容、雑誌・新聞、学術論文を読む頻度なども選択式で回答してもらう。OECDでは、これらの結果を分析して、成人に必要な「社会対応能力」を特定。〈1〉各国の成人が持つ能力〈2〉個人の能力と社会的な成功、経済成長との関係〈3〉教育や職業訓練制度の効果、を把握し、有効な政策につなげるという。


参考

2009年11月19日 読売新聞


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