国際結婚2

出典: Jinkawiki

目次

概要

国際結婚が話題になり始めたのは、1980年代以後のいわゆるバブル期である。とりわけ東北地方などで農業を営む独身男性に取っては結婚難は深刻な事態であり、結婚相手の不足がマスメディアで報じられるようになり「嫁不足」と言われた。このため、農協や自治体(市町村レベル)を中心に、結婚相手を日本よりも経済的に低い状態にある他国へ求める動きが活発となり、主に中国やフィリピンなどとの「お見合いツアー」が開かれ、一定の成果を挙げた。

1990年代以後、バブル景気は崩壊したが、国際結婚は日本社会に定着しており、グローバル化が進むにつれ、国際結婚の成立件数は年々上昇の一途をたどっている。さらに、これからのより一層のグローバル化と日本国内の少子高齢化による労働力不足を補うための外国人労働者受け入れを念頭に置けば、さらに国際結婚の成立件数も増加していく事が予想される。

近年の国際結婚では、人柄や相性などが重視されるようになっている。



婚姻の方式

婚姻の方式は、婚姻挙行地または当事者の一方の本国法による。ただし、配偶者の一方が日本人で日本で婚姻を挙行する場合は日本法によらなければならない(通則法24条2項、3項)。

ここでいう、婚姻の方式とは婚姻を有効に成立させるための手続のことをさし、日本では婚姻届の提出をさし、他国では儀式婚や宗教婚などがあたる場合がある。

たとえば、韓国人男性と日本人女性が日本で結婚する場合は、日本で婚姻届を提出しないと日本での婚姻は有効に成立しない。


国際結婚した場合の戸籍

日本人と結婚した外国人の配偶者が、結婚(婚姻)することによって自動的に日本国籍を取得することはできない。日本国籍の取得を希望する場合は、帰化許可申請をする。

日本人同士が結婚する場合は、夫婦で新しい戸籍を編成することとされているが、外国人と日本人が結婚する場合の戸籍は、夫婦の日本人のみについて新しい戸籍を編成することになる(戸籍法16条3項)。戸籍に登録されるのは日本国民のみであって、外国人は外国人登録によって別に管理されることになる。婚姻届受理数日後には、日本人の戸籍に婚姻の記載が外国人の名前がカタカナや漢字で表記される。


国際結婚した場合の国籍

日本の国籍法では、双方の国籍の変更はない。しかし、相手の外国人の本国法によって日本人がその外国籍を取得する場合があるが、日本の国籍法では二重国籍を認めていないため、外国籍を取得した日本人はどちらかの国籍を選択しなければならない。


国際結婚した場合の氏

外国人と日本人が結婚しても日本では夫婦別姓が原則になっているので、届出や申請によって日本人の氏や外国人の氏を変更することが可能となっている。外国人配偶者の氏を名乗りたい場合は、婚姻後6ヶ月以内であれば、市区町村役場に「氏の変更届」の提出により認められる。


子供の国籍

国際結婚で生まれた子どもの国籍は、出生した国の国籍が与えられる「生地主義」と、民族的な「血統主義」に大きくわかれており、血統主義はさらに、父親の国籍だけを引き継ぐ(父系主義)と(父母両系主義)とにわかれている。また、国によっては複数のシステムを採用している場合がある。

●生地主義が原則の国

アメリカ、カナダ、イギリス、ニュージーランド、メキシコ、フランス、アルゼンチン、ベネズエラ、ウルグアイ、エクアドル、パキスタン、パラグアイ、ブラジル、ペルーなど

●父母両系血統主義が原則の国

イタリア、インド、エチオピア、オーストリア、オランダ、スウェーデン、スペイン.タイ、中国、日本、ノルウェー、ロシア、スイス、ドイツ、韓国、シンガポール、オーストラリアなど

●父系血統主義が原則の国

イラン、インドネシア、エジプト、クウェ-ト、スーダン、モロッコなど

外国人と日本人の夫婦の間に生まれた子供の国籍は、両親のそれぞれの本国の国籍法に基づき定められる。

母親が日本人の場合の子供の国籍

父親と母親の婚姻の有無に問わず生まれてきた子供は当然に日本国籍を取得する。

父親が日本人の場合の子供の国籍

・婚姻中の夫婦の間に生まれた子供の場合(摘出子)・・・日本国籍

・婚姻していない夫婦の間に生まれた子供(非摘出子)で出生前に父親が認知している場合・・・出生前に認知(胎児認知)された場合は、父子関係が認められるため日本国籍

・婚姻中していない夫婦の間に生まれた子供(摘出子)で出生以後に父親が認知している場合・・・原則として、国籍取得や帰化以外には日本国籍を取得することができない


また、以下の場合の子は日本国籍となる。

① 出生の時に父又は母が日本国民であるとき

② 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき

③日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき又は国籍を有しないとき


国際離婚について

法律の適用

国際結婚をした夫婦が離婚する場合、どこの国の法律が適用されるのかが問題となる。適用する国の法律を準拠法と呼び、日本では次の1~3が段階的に適用される。

1.離婚時の夫婦の本国が同一であれば、その本国法(本国法=夫婦それぞれの国の法律)

外国人の夫や妻が日本に帰化している場合は日本の法律が適用される。

2.離婚時の夫婦の常居所が同一であれば、その常居所地の法律

日本に住民票がある場合には、日本が常居所(長期間にわたって居住し、生活の基盤となっている所)と認められ、日本の法律が適用される。ただし、外国に5年以上継続して滞在しているときは、その国が常居所と認定され、その国の法律が適用される。

3.夫婦に最も密接な関係のある地の法律

夫婦の一方が日本に常居所のある日本人の場合は、日本の法律が適用される。 つまり、日本で離婚する場合は日本の法律で離婚できる。

離婚率

2002年現在、国際結婚の離婚率は43%であり、日本人同士の38%に比べて若干高い。 アジア、インド、中東、アフリカ、南アメリカなど日本より経済力の劣る国出身者と結婚する場合、日本との経済力の差から、男女問わず出稼ぎや日本に滞在するためのビザを目的とした結婚も少なくない。こうした場合、当然ながら結婚生活はうまくいかず離婚に至るケースも少なくない。

問題

国際離婚には、国籍問題、海を隔てた裁判、子どもの養育費の取り立てなど、複雑でより困難な情況が発生する。子どもと一生会えない、元配偶者から誘拐罪で訴えられる、という日本では想像もつかないようなケースさえある。


国際結婚における問題

日本国内において、国際結婚の成立件数が増えると共に、悪質な国際結婚斡旋業者による国際結婚トラブルや、国際結婚後の夫婦間の問題、ビザ等の問題など、国際結婚に関連した社会的問題が数多く発生している。また、国際結婚それ自体に対する差別も完全に無くなっているとは言えない。


NPO法人国際結婚協会 

NPO法人国際結婚協会は内閣府の認定を受けている。国際結婚に関する正しい知識と情報を集め、調査、研究し、広くその情報を公開する事で、社会教育の推進を図ると共に、国際結婚前後における相談、カウンセリングを行い夫婦が仲良く結婚生活を行う手助けを行う事で、地域社会の平和と日本の国際化の為に貢献していくことを目的としている。

また、国際結婚紹介・斡旋業者に対し、質とモラルの向上を図る為に、連絡、助言又は援助を行う事で国際結婚紹介・斡旋業者を介してのトラブルを防ぎ国際結婚の健全な発展に貢献する事も同NPO法人の目的としている。


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