文明の衝突

出典: Jinkawiki

サミュエル・P・ハンチントンによって書かれた。冷戦後の世界がどのような対立軸になるかを説明しようとしたもので、最初はフォーリンアフェアーズ誌に発表され、注目を浴びた。そもそもは、教え子であるフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』に対する反論の書として出されたものである。『歴史の終わり』では、冷戦後は自由民主主義が世界を席巻するだろうと述べたものだが(実際にはそんな簡単な議論は展開していないが、このように理解されていることが多い)、ハンチントンは冷戦後は文明こそが共産主義イデオロギーや自由民主主義イデオロギーの対立に取って代わると主張した。 本書はそれまでの「西側」、「東側」、「国民国家」などの国際政治の視座ではなく、文明に着目して冷戦後の世界秩序を分析する国際政治学的な研究である。その内容は、文明の概念と特徴を定義した第一部「さまざまな文明からなる世界」、非西欧文明の発展を論じている第二部「文明間のバランスのシフト」、文明における文化的秩序の発生について論じた第三部「文明の秩序の出現」、文明間の紛争や戦争について論じた第四部「文明の衝突」、そして西欧文明の復興や新時代の世界秩序について論じた第五部「文明の未来」から成り立っている。 変容する文明や文明の内部構造、新しい世界秩序などについても著されているが、学術的理論というにはあまりにも内容がお粗末だったからという理由で学会ではあまり重要視されていない説である。


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成