臓器売買
出典: Jinkawiki
概要
現在、臓器の商品化に積極的に取り組んでいる国が存在するという。1984年のアメリカの臓器移植法のきっかけになった国際的な「移植ツアー」がその発端であるが「医療ツアー」の特殊形態でもあり、インドがその先頭を走っているといわれている。「移植ツアー」とは臓器移植を希望する人々が経済格差のある近隣諸国に行き、移植をして帰国することをさす。 これには様々な原因がある。現在、世界的な臓器不足や経済格差(南北問題)が「移植ツアー」をうんでいる。餓死するよりましだ。という考えの貧しい人々が生活のために腎臓を売りたがっている。しかし、ここにも様々な問題が存在している。 WHOは「臓器売買は、世界人権宣言に対する違反であり、人体やその部分を売買することは禁止されるべきである。」としている。だが、世界人権宣言に法的強制力がない。これから、臓器摘出の国際監視機関を設置するべきという意見があがってきた。また、1994年、インド議会および大半の州が臓器移植法を成立した。これにより臓器移植を禁止した。しかし、この法律には多くの抜け穴が存在することや、法自体が破られやすい風土でもあることが問題視されている。 こんなケースも報告されている。東欧の貧困地域に住む若者が臓器売買の誘いを受け、手術を受けた。この若者は報酬を受け取ったが、術後のケアなしにただちに帰国させられ、健康を急速に害したという。生活に困っている人々の弱い部分に漬け込む非人道的な行為である。 その他にも多くの問題がある。現在、臓器提供を待っている人々は西欧だけで12万人。待機リストの15~30%の人々が死亡する中、人として健康を求める人権的な面と臓器売買に関する倫理的問題が衝突している。こういった状況が更なる「移植ツアー」を呼び起こしている。
移植ツアー
このツアーをインドが一大産業に育て上げようとしている。どうしても臓器移植の必要な先進国の人々と生活のために臓器提供を希望する人々を利用しまた、臓器の売り手側の国の政府も歓迎の姿勢でいる。 ここまで話すと日本はあまり関係がないように思われるがそうではない。日本では臓移植のための臓器が圧倒的に不足している。そのため日本人が移植ツアーへの勧誘を受ける可能性は多いにある。多くの問題点に欧州では多くの専門家や政治家がこの問題に対応しているが、日本ではそういった重大な倫理的問題点への重視の動きはない。 臓器売買の問題には必ず経済的格差が絡んでくるのだ。法制度そのものがドナーの人権や生きる権利を最初から無いものとして組み立てられたものである、という意見も存在する。移殖医は命を救うふりをしているだけであり、コーディネータは死の仲介人だという誹謗・中傷もある。臓器移植の問題を円滑に解決するためにも、世界的な経済格差をなくす国際政治が必要である。
(kuma)