財政

出典: Jinkawiki

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財政

 政府(中央政府、地方政府)は一つの経済主体として収入を得、それをもとにして支出の活動を行っている。一会計年度における全ての収入を歳入、支出を歳出という。政府の収入と支出の活動が財政であり、財政はその主体によって中央(国家)財政と地方財政に分かれる。収入と支出を管理するために、政府は会計を設けている。会計は、収入と支出を総合的に管理する一般会計と、特定の事業を行うために一般会計から切り離して設置された特別会計から成り立つ。


国家財政

 政府の行う政治活動のうち、中央政府の経済活動を指す。政府の活動は、財政的な裏付けがあって初めて実施され、国家財政の動向を見れば国家の性格を知ることができる。1934~1936年の日本政府の最大支出項目は軍事費であり、一般会計全体の45%を占めていた。これは、当時の軍事国家主義的体質を示している。また、1965年には国土保全費の割合が大きく、当時の政府が経済成長を第一の目的とする国家運営をしていたことを示している。近年では、防衛関係費や経済協力費の伸びが大きい。


予算

 政府は毎年、一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算を作成して国家に提出し、国会の承認を得てこれを実行に移す。国会の審議・議決を得て新年度から実施される予算を本予算、年度途中で、本予算に追加や変更を行わざるを得ない場合に、国会の議決をへて修正された予算を補正予算という。予算編成と同時に、毎年、第二の予算と呼ばれる財政投融資計画が作成される。


一般会計 

 政府の通常の活動に伴う歳入・歳出を経理する会計。一般会計の歳入は、租税など6項目から構成されている。租税収入の割合が圧倒的に大きいが、オイルショックの後に派租税収入の不足を補うために大量の国債が発行され、公債金に依存する割合が大きくなった。 一般会計の歳出は、国債費・社会保障関係費・地方交付税交付金・公共事業関係費尚に分類できる。


特別会計 

 国がある特定の事業を行う場合などに設けられる会計。国の会計は一種で全ての歳入・歳出を経理するのがふさわしいとされる(単一予算主義)。しかし、現代の財政は規模が大きく、内容も複雑になっているので、特別会計が設置された。日本では、事業別会計・管理特別会計などがある。


政府関係機関予算 

 国民生活金融公庫・中小企業金融公庫・国際協力銀行など、政府の全額出資によって設立・維持されている政府系金融機関の予算。


財政収入

 政府が様々な活動を行っていくために必要となる財源、収入。租税・官業収入・手数料・公債などから構成され、租税収入の割合が夫も大きい。


財政支出

 政府が活動を行うために支払われる経費。国民の財政に対する要求が多様化し、国民経済の中に占める財政支出の割合が高くなっている。


財政の役割

 政府は公共的な目的を達成するために財政をその手段として用いる。これが財政政策であり、その目的は大きく3つのものがあげられる。


資源の適正配分

 道路・病院・学校・住宅・公園など社会的共通資本は、市場を通して供給することはできないか、仮に可能であっても不十分な供給になることが多い。このような場合、社会的共通資本を供給したり、公共サービスを提供したりして、私的財産と公共的財産のバランスを調整する。


所得の再分配

 市場下決定する所得の分配は、不平等なものとなりがちである。政府は高所得者から低所得者に所得を移転するという政策をとる。これを所得の再分配という。累進的な所得税などの税制と、生活保護など社会保障給付が所得再分配の手段となる。累進課税制度では、高所得者ほど高い税率をかけ、低所得者には低い税率ないし無税にして再分配をはかる。社会保障政策では、低所得者へ生活保護費を支給することにより再分配をはかる。

景気の安定化

 景気を安定させるために政府は収入と支出の活動を手段として用いる。不景気になると減税を行ったり(収入の活動)、公共事業を増やしたりして(支出の活動)して、総需要を拡大させ、景気の回復をはかる。このような景気案手のための財政政策は、フィスカル・ポリシーと呼ばれる。また、財政制度の中にも組み込まれている景気の自動安定装置(ビルト・イン・スタビライザー)も景気の安定に寄与する。


財政政策

 政府の経済かどうである財政の動きを通じて行われる政府の政策のこと。財政政策の役割は、公共部門への資源配分、所得の再分配、景気調節の3つに分けられる。これらはいずれも、市場メカニズムが内在的に持つ欠陥を、政府の活動によって是正しようとするものである。福祉国家を目指し、公民の最低限の生活の確保が国家の責務であるとされ、ケインズが財政支出によって完全雇用の維持が可能であることを明らかにして以来、財政政策は最も重要なものとなった。  財政政策の手段には、財政支出政策、租税政策、財政投融資・補助金など補助的政策などの3つがある。


租税政策

 政府が租税を、財政目標を達成するための手段として利用すること。累進課税制度を設ければ、所得分配の不公平などを緩和することができる。また、累進税率が適用されることによって、好況時に派所得の伸び率以上に税額が増え、景気の過熱が抑えられる。不況期に税率絵を下げれば、国民の消費需要が増え、不況からの回復に役立つ。


減税・増税政策 

 政府が租税の額を増減させることにより景気を安定的に推移させることをねらいとする。景気が下降気味のときには、減税政策が取られる。逆に景気が過熱気味のときには、増税政策をとる。ただ、増税に対しては反対が多く、なかなか理論通りにならないことが多い。また、減税政策をとるときは減税分の財源をいかに確保するのかが問題になる。


財政投融資

 国の制度や信用によって集められた資金を財源として行われる投資や融資。その資金は、郵便貯金・厚生年金・国民年金などの積立金からなる資金運用部資金を中心にまかなわれてきた。これらお資金が、公団や政府系金融機関などを通じて、住宅・福祉・道路・中小企業・農林水産業など、民間資金の供給が不十分になりがちな分野に低利・長期の有利な条件で投融資されてきた。資金の運用については、政府が財政投融資計画を作成し、国会の承認を得て決定される。財政投融資の規模は、一般化池に対してかなりの額に達し、「第二の予算」とも呼ばれる。現在では、郵便貯金などの資金運用部への預託制度が廃止され、また、政府関係機関が財投機関債を発行して、市場から資金を調達することが原則になった。


参考文献

板垣薫編「月刊ジュニアエラ1月号」2011 朝日新聞社

星野哲也「フォーラム現代社会」2007 東京法令出版

現代社会編集委員会「用語集 現代社会」2007 清水書院


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