A・S・ニイル

出典: Jinkawiki

A・S・ニイル(Alexander Sutherland Neill、1883年10月17日~1973年9月23日)は、イギリスの新教育運動の教育家。サマーヒル・スクール創立者。
少年ニイルは学業成績が悪く、義務教育修了後に就職するが長くは続かず、父親の学校の見習い教師になる。学校教育の現状に疑問を持ち、1908年独学で勉強しエジンバラ大学に入学。1912年卒業。編集者、兵役を経て1921年ドイツのドレスデン郊外のヘレラウにサマーヒルの前身である国際学校を設立。その後、オーストリアのソンタークベルク、次に、イングランドの小さな町ライム・リージスに移し学校名をサマーヒルに改称。1927年に現在のサフォーク州レイストンに移し、男女共学の寄宿学校で全日制の学校として初等中等教育を民主的なスタイルで提供している。


ニイルの教育思想
ニイルにとって教育とは「人生における重要な事物について自由に熟考させること」、つまり子どもたちを伝統的な価値観や行動様式からひとまず解放して、自分自身のものの見方を築かせることであった。一人一人の人間がそれぞれの判断に基づいて、自分自身の責任において行動すべきであり、教育はそうした態度と能力を持った人間の育成を目指して行われなくてはならないと考えた。教師の仕事は有用な情報を提供し、学習の環境は整えても学習を強要しないことである。ニイルは「自分自身の生き方をする自由」を子どもたちに与え、「学校は小型の軍隊ではない」と語り、学校に無理やり合わせるのではなく、子どもに合わせた学校を作ることを考えた。それが後のサマーヒル・スクールである。


ニイルとイギリス進歩主義教育
進歩主義というのは単一の教育思想ではなく、一定の共通のプログラムに従った実践でもない。イギリス進歩主義教育とは、19世紀から20世紀前半に現れ、教授内容の拡大と教授法の改革、および教師の権威の縮小と児童の興味や自主性の尊重などを主要な特色とした、様々な教育思想および教育実践の総称である。
第一次大戦から第二次大戦にわたる時代にこのような特色を持っていた代表的な学校の一つとしてサマーヒルがある。サマーヒルでは、授業への出席は生徒の自由意志によるとした点、教師と生徒の対等参加、大人による処罰の否定といったかたちで現れている。
この革新的な先駆的試みは、現在多くの公立学校でも行われている。


参考:ニイルと自由の子どもたち/堀真一郎


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