ごみ問題5
出典: Jinkawiki
日本のごみ問題の始まり
ごみ問題はごみ大量化・多様化から始まった。ごみ大量化・多様化とは「衛生的に処理する能力」や「生活環境の保全」を脅かすことなく処理・処分する能力を上回る量の「量」と「質」のことである。高度経済成長期においてごみ問題の基礎要因であるごみ大量化・多様化が確立された。背景には2つの点が考えられる。1つは、高度経済成長期に自然経済や「農村的生活様式」が全面的に崩壊し、「大量廃棄型社会」や「都市的生活様式」が成立・定着・普及し、「使い捨てライフスタイル」が短期間内に拡大したことである。2つは、高度経済成長期後以降、市町村が人口・世帯・事務所の増大・拡大・集積を促し、ごみ発生源・排出源を増大・拡大し、集積してきたことである。 高度成長期以降の国土政策や経済計画などは「経済大国化」や「生産大国化」を実現するため、「先進国に追いつき追い越す」方策としての制定・計画に伴って、「ごみ大量化・多様化社会」が成立・定着した。
ごみ大量化・多様化と大量販売戦略
第1次大戦後、先進国のリーダー格に浮上した大衆資本主義のアメリカは、世界の先頭を切って「大量廃棄型社会」を成立させ、「都市的生活様式」「使い捨てライフスタイル」短期間内の成立・定着・普及に成功している。大量生産・大量販売・大量消費・大量破棄を具体化し実現するために、定着・普及を演出したのが大手広告代理店であった。戦略とさせたのが、「販売促進9戦略」である。専門家集団や企業は巧妙かつ効果的にこの戦略を駆使してきた。「販売促進9戦略」とは、【1,消費者に「もっと物を買わせる戦略」2,消費者に生活物質を使い「捨てさせる戦略」3,長く使用できない製品等をつくらせる「計画的廃物化の戦略」4,「欲望の計画的廃物化の戦略」5,消費者を流行遅れの不安に駆り立てる「流行遅れを作り出す戦略」6,消費者心理を混乱にさせ、衝動買いに駆り立てる「混乱をつくり出す戦略」7,高額商品等の購買を可能にするための「月賦販売による戦略」8,「快楽主義を植えつける戦略」9,人口増加政策を通じて購買人口や消費者を拡大する、いわゆる「人口増加を利用する戦略」】である。これを参考にして、日本も高度経済成長期に「PR戦略10訓」というものを打ち出し、戦略としてきた。この戦略がごみ問題の1つの背景となっていった。
最終処分場の問題
最終処分するごみは「一般廃棄物最終処分件場」に送られ埋め立てられる。最終処分場は4つ(山間・海面・水面・平地)に分けられるが、現在は全体の施設数の72%を占めている山間部での最終処分場が圧倒的に多くなっている。このような最終処分場を建設する場合、周辺について「人家のないこと」「農産物を生産していないこと」「飲料水などを提供している水源がないこと」など厳しい条件があるため、新たな設置が困難である。平成22年度の環境省による調査では、現在の施設数が変わらなければ、最終処分場はあと19年ほどで満杯になるとされている。 ごみを最終処理するための費用は、1年間に1兆8,390億円(平成22年度)、国民ひとり当たり14,400円かかっている。これらは税金として支払われたものではないが、各市区町村の予算として計上された金額である。ただし、最近ではごみ収集を有料化している市町村もある。
≪参考≫
『ごみ社会学研究』 自治体研究社 著:田口正己
http://news.mynavi.jp/news/2013/03/27/229/index.html
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