アファーマティブ・アクション11
出典: Jinkawiki
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アファーマティブ・アクション
アファーマティブ・アクションは特定の地域における人種構成と従業員や学生の構成を比較して差を埋めるように雇用や入試制度を工夫していくものだ。1961年に大統領行政命令一〇九二五号をケネディ大統領が公布。これによって雇用で人種差別を撤廃させるためにアファーマティブ・アクションを採用するよう連邦政府の事業契約者に求められた。このようにアメリカでは古くからアファーマティブ・アクションによって人種差別を解消する働きが行われていた。
アメリカにおけるアファーマティブ・アクション批判
アメリカではより平等で公正な社会を実現するための公共政策である。アファーマティブ・アクションこの制度に対して批判的な意見が多々ある。 アファーマティブ・アクションで差を埋めてもらえない側の人間はほかの人種が自分たちよりも優先的に雇用されてしまう不満が個人単位で生じてしまう。アメリカの信条として努力に対し個人は報われるべきというものがある。この理念に対してアファーマティブ・アクションは矛盾する点がある。つまり、アメリカが本来平等と考える価値観「機会の平等」のが「結果の平等」よりも受け入れられるためにアファーマティブ・アクションが受け入れられないことがある。 アファーマティブ・アクションに対する個人の達成した業績が平等に取り扱われていないことが取り上げられる。これが大学入試における逆差別を引き起こしている。これは===バッキ判決===でとくに顕著に表れている。この判決から入学において引き続いて人種への配慮は認められるものの、優秀な者が正当に評価されないという見方がある。
ブラジルにおけるアファーマティブ・アクション
カルロス・アセンバルグらやブラジル政府の経済調査機関であるIPEA(応用経済研究所)の調査によってブラジルの貧困と人種の関係がはっきりした。この調査結果からブラジル政府は人種平等の理念を達成するべく1996年に国家人権計画を策定するに至った。この国家人権計画の一環としてアファーマティブ・アクションを導入することが案として挙がった。だが、アファーマティブ・アクションとクォーター制度を同一にする見方が多く、この時期に行われたクォーター制度に対する批判がアファーマティブ・アクションにも向かうようになってしまった。ブラジルは混血が多く国民に人種に関する意識が低いため、アファーマティブ・アクションによって人種意識が強くなってしまう恐れがあるためにその運用に関しては議論がなされている。
参考文献
イエ・リンシェン(2006)『チャイニーズ・ジレンマ 多民族国家マレーシアのアファーマティブ・アクション』明石書店 田村哲樹 金井篤子編(2007)『ポジティブ・アクションの可能性 男女共同参画社会の制度デザインのために』ナカニシヤ出版 立石博高 篠原琢編(2009)『国民国家と市民 包摂と排除の諸相』山川出版社 大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策専攻都市共生社会研究分野「米最高裁のアファーマティブ・アクション判決」 (http://co-existing.com/essay/kh5.html)