アムネスティ・インターナショナル5

出典: Jinkawiki

目次

概要

アムネスティ・インターナショナルとは、1961年、イギリスで発足したNGO団体である。軍事政権下にあった当時のポルトガルで「自由のために乾杯」と叫んだ学生が禁固刑の判決を受けたことを知った弁護士のピーター・べネンソンが「忘れられた囚人」を救おうと新聞に投稿した。これが国際的共感を呼んだのが発足の契機となった。ちなみにアムネスティとは「恩赦」という意味である。国際事務局もロンドンに所在している。


活動

アムネスティには活動の範囲と限界を定めたマンデイト(責務)がある。これは目的実現の指針でもある。具体的には

1 人権侵害のマンデイト(社会・経済・文化的権利も含まれる)

2 人権侵害に反対するマンデイト(市民的・政治的権利に限られている)

の二つである。さらに2を具体的例で示すと

・良心の囚人の釈放要求

・政治囚に対する公正・迅速な裁判の要求

・死刑制度その他残虐な刑罰などに反対する

・法の定めによらない恣意的な殺害・失踪に反対する

などである。ただし、政治的に中立な立場で活動することをはっきりさせるために、国内の人権侵害問題については取り組まないという方針をとっている。つまり、アムネスティ・インターナショナル日本支部は、日本国内の人権侵害問題は直接取り扱わないが、それらについては、他国のアムネスティ支部がアピールの手紙を送付したりするなど国際的キャンペーンを行っている。


良心の囚人の釈放とは

アムネスティ・インターナショナルのいう良心の囚人の釈放とは暴力の行使や擁護をしていないのにも関わらず、その思想が原因で弾圧囚われた人を解放することである。 この点が誤解されていることが多く、政治囚の救援活動ととらえられることがあるがそうではなく、自らの理念、考えを主張する人々の救援であるとアムネスティ会員は訴えている。


難民問題への取り組み

難民は国連難民条約において「自国において人種、宗教、国籍または特定の社会集団の構成員であることもしくは、政治的意見を理由に迫害を受ける人」と定義している。つまりアムネスティ・インターナショナルにとって難民は「良心の囚人」の延長として捉えられるのである。そのため、そうした難民に財政的援助を現在も続けている。


問題点

先の項目で述べたとおりアムネスティ・インターナショナルには自国の人権侵害問題は取り扱わないとある(自国条項)。しかしこれには様々なデメリットも生じている。たとえば日本でいうならば死刑制度である。死刑制度が日本に存在しているにも関わらず、アムネスティ日本支部は自国条項のために動くことができない。さらに他国でも自国の難民問題には干渉できないにも関わらず、それ以外の他国の難民問題に対して干渉しているという不思議な状況となってしまっている。自国の問題と他国の問題、どこまで干渉するのかの線引きが難問となっている。


参考文献 『ハンドブックNGO』 馬橋憲男・斎藤千宏 編著 明石書店出版 『初めてのアムネスティ』アムネスティ・インターナショナル日本支部 編 明石書店出版


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