アメリカのスタンダード教育

出典: Jinkawiki

目次

「スタンダード」の意味

① 標準、基準、規範、典型
② 旗、旗印


言葉を換えれば、目指すべき目標(なされるべき何か)という意味と、その目標に向けてのプロセスの規準(どのくらいうまくなされるか)という2つの意味があると言える。

スタンダード教育の歴史的系譜

アメリカ教育において20世紀に登場した4つのグループである①人文主義者、②発達主義者、③社会効率主義者、④社会改善主義者の中でも、特に社会効率主義者にその起源がある。この社会効率主義者の思想が、「コンピテンシーに基づく教育」(CBE)の運動へと引き継がれていく。
CBEとは、基礎学力の定着を目的に、学習目標を細かく分割し、確実にそれらを達成できるように学習を組織する教育方法のことである。


●スタンダード教育改革が本格的に始動する1990年代までのアメリカ教育
【教育内容】教育内容においては、生徒が何を学び、何ができるようになるかについて明確に規定したものは存在せず、そのため、生徒が何を学ぶかは、学校によって、教師によって大きく異なっていた。
【教育評価】生徒の学力形成の状況を適切に測定するものになっていなかった。


CBEとスタンダード教育の比較

【共通点】
到達目標を設定して、目標準拠の評価を行い、子どもの学力保障を目指す。
【相違点】・CBEは、読み・書き・算など最低限の基礎的な知識や技能の習得を目指すもの。
・スタンダード教育は、グローバルな経済の中で、勝ち抜くことのできる高度な思考や判断力の育成を求めている。


スタンダード教育の種類

①教育内容スタンダード

生徒が何を知り、なすことができるようになるべきかを定義したもの。

②パフォーマンス・スタンダード

生徒がどのくらい知り、なすことができるようになる必要があるかを既定したもの。パフォーマンスレベルは、「習熟」・「高度」といった形で表わされる。

③教育条件スタンダード

期待される生徒、学校のパフォーマンスを実現するために必要な教育的なインプットと資源を定めるもの。指導時間数や教師の質など、生徒が期待されるレベルの結果を成し遂げる前提として、あるべき教育の前提条件に関わるもの。


スタンダード教育改革の内容

①スタンダードの設定

教育の質的な向上を目指して、明快で、高度で、すべての生徒に共通したスタンダードを設定することから始める。

②評価とのリンク

スタンダードと評価を密接にリンクさせることによって、評価を通して、スタンダードに示された知識や技能がいかに学ばれたのかを的確に把握できる。

③柔軟性の保証

実際の指導にあたっては、現場の状況に応じて、教育実践をデザインする柔軟性が保障される。

④アカウンタビリティの要求

【参考文献】「アメリカの現代教育改革ースタンダードとアカウンタビリティの光と影」松尾知明 著  東信堂(2010年)   N.I


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