アメリカの大学生
出典: Jinkawiki
特徴
一般に理解されていることは、アメリカの大学生は積極的に行動し、時間の使い方が上手である。勉強する時間と遊びの時間を区別していて、上手に切りかえているので、よく学び、よく遊ぶように見られて いることであろうと考える。これは事実であるが、すべての学生にあてはまるのでなく、ペーパーを書くことや本を読むことなどの宿題が多いので、ほとんどの大学図書館は12時まで開館していて、勉強に重点をおいた生活をしていることはいうまでもない。学部生の寮は通常2人部屋であるが、大学院はシングル部屋で、家族のある学生は家族用のアパートに住んでいる。日本の大学と異なり、先にも述べたように大学へ入学することはさほど難しくなくても、公私立の4年制大学で過去10年間に一年生から二年生になるのに落第が次のようにある。 公立大学の方が割合が多いが、公·私立大学合わせて約1/4の学生が、大学で1年だけ勉強して退学するという結果が出ている。ゆえに、月曜日から金曜日までは寮でも下宿でも、勉強のために多くの時間をついやしていて、自由時間を楽しむということは多くない。そしてキャンパスでアルバイトをしている学生(図書館やカフェテリア·ブックストア等では、授業のない時間あるいは放課後それぞれの場で働いている。大学院学生は奨学金をもらって教授の手伝いや授業の手伝いをしている者がいて、博士号取得まで努力している。
周知のように、いずれのレベルの学校も週5日制である。家庭や地域社会において2日間生活するのであるが、学校で習ったことを一人でも学習でき、補完できる歴史博物館、美術館、図書館の施設が地域社会の中に整っている。アメリカの学生や生徒たちにとって学校教育はすべてではない。到る所で楽しみながら、学習し、遊ぶことが可能である。大学生の場合も、金曜日の夕方から、土曜日·日曜日の夕方までの2日間は各自自由に過せる、リラックスの時間である。勉強や学校のことから一切開放される。 寮生活ではパーティや映画などが催され、友人などの訪問客が訪れて過ごす、社交の時でもあり、外出できる時でもある。アメリカでは高校までは自宅通学をするが、ハイスクール卒業と同時に18歳で独立するので、大学生での自宅通学者は殆んどいない。日本の大学生大きく異なる点である。
しかし、最近のように経済状況が厳しくなるにつれて、遊びの方が少なくなり、働く学生の方が多くなっている。また、勉強の遅れを取り戻す場合もあろう。とくに、留学生はこの2年間の時間があるので救われる。宿題を片付ける勉強の時でもある。日曜日は正装をして、教会に行く学生が多く、そこで社交が生まれる。キャンパス外の社交の場である。しかし、日曜日の夜はまた皆静かになり、図書館に行く者や、部屋で翌日からの勉強にそなえて体力をたくわえたり、勉強をする者もいる。これが一般的なアメリカの大学生の生活パターンである。それゆえ、学部レベルで、男子学生の親善団体であるフラタニティや、女子のソロリティといった組織はあるが、ここでの社交活動も週末に限られている。その他いろいろのクラブやサークルもあるが、趣味を同じくする人が時々集って会合をもつだけで、日本の大学のクラブ活動のような絆の強い課外活動はない。日本の大学生の場合、クラブ活動やサークル活動、スポーツ等の部活が一種の出会いの場であり、社交の場になっている。けれども、アメリカの場合は、クラスルームか教会での出会いで友人を作って、仲よくなる場合が多いように思われる。それらを通して、対人関係や男女の問題、幅広い社会に対するものの見方などを学び、学生時代から社会人としての経験を積んでいく。
参考文献
アメリカの教育 村田鈴子 信山社(1997)
アメリカ教育の変動 椙山正弘 福村出版(1997)