アメリカの患者の自己決定権法

出典: Jinkawiki

概要

 アメリカでは、米国連邦法によって患者の自己決定権を含む人格権を保障している。この法律では、「米国政府の健康保険制度に加盟しているすべての医療機関は、新患が来た場合には、その医療機関が存在している州の定めた『患者の自己決定に関するすべての法理』について患者に説明しなければならない。また、法律があることを知った患者が、たとえばリビングウイルを作りたいと希望する場合などには、必要な手続について説明し手助けをしなければならない」(星野 一正)と定められている。

患者の自己決定権充実の道のり

 アメリカでは、1957年のカリフォルニア州におけるサルゴ裁判にて、世界で最初に裁判基準とした法理を「インフォームド・コンセント」と命名した。ここから患者の自己決定権を含む人格権を中心に充実され、1960年代末までに体系化、1970年代初頭から医療現場に導入され始めた。1990年には、連邦政府は「患者の自己決定権法」を制定、翌年に施行し、患者の権利を広く国民に知らせた。
 また、1976年にカリフォルニア州で制定された「カリフォルニア州自然死法」では、患者の終末期まで効力のあるリビングウイルを前もって作成する個人の自己決定権が世界で始めて保障された。

「患者の自己決定権法」における医療機関の義務

 この法律は、医療ケアを患者に提供する機関に対して、患者に基本方針と実施方法とを確立し、維持するための文書提供を命じている。そして、これらの文書には下記のような個人の権利を説明する内容が記されていなければならない。
①自分が受ける医療・介護を決定する個人の権利には、内科的・外科的医療処置を受ける権利と、またそれを拒否する権利とが含まれている。
②リビングウイル、医療のための持続的委任権法のようなアドバンスディレクティブ(患者自身があらかじめ自己の意思を医師に提示しておくための文書)を、州法のもとで指示しておく個人の権利。
③このような個人の権利を承認するための基本方針と実施方法

  • アドバンスディレクティブの身元確認、記録ならびに必要時の取り出しの方法
  • 機関の職員ならびに地域住民に対するアドバンスディレクティブについての教育プログラムの提供
  • 個人たちがアドバンスディレクティブを持っているか否かによって、職員達がケアの提供方法の条件を変えることの禁止
  • 病院やナーシングホームでは、すべての新患患者にこれらの基本方針と実施方法に関する情報を、書面で提供しなければならない。また、在宅医療斡旋所やホスピス組織では、情報を提供しなければならない。


(参考資料)
民主化の法理 医療の場合67  時の法令 1622号 62-66頁  2000年7月30日  大蔵省印刷局、星野一正  米国連邦法「患者の自己決定権法」
  (http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/refhoshino/hoshino0002.htm)
時の法令1584号, 53-64,  1998年12月30日  民主化の法理=医療の場合 50  星野一正 カリフォルニア州持続的委任権法一九八三年
  (http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/refhoshino/hoshino0060.htm)
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  (http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/LivingWill.shtml)


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