アメリカの教育5
出典: Jinkawiki
アメリカの教育行政は、連邦政府ではなく各州に委ねられている。教育行政は、各州の教育省の下にある郡教育局の、その下にある学校区の裁量で決定可能な範囲が広く、使用する教科書やカリキュラム、休日なども学校区ごとに決められている。学校区により教育方針やレベルに違いが現れるため、学齢期の子どもを持つ家族にとって学校区選び(居住地選び)は非常に重要な課題になる。アメリカの学校では学年のことをグレードと呼び、日本の小学校1年~高校3年にあたる12年間が、グレード1~12に相当し、アメリカの義務教育は、日本の幼稚園年長にあたる歳から始まる。このグレードをK(kindergarten)と呼び、グレードK~12が一般的な義務教育期間で、「K-12」と略称される。小・中・高12年間の分け方は、地域によって異なり、一般的なのは、グレード1~5を小学校、グレード6~8を中学校、グレード9~12を高校とする分け方である。また、グレード1~8は「プライマリー・エデュケーション」、9~12を「セカンダリー・エデュケーション」、高校は、「ハイスクール」や「セカンダリースクール」と呼ぶ。高校4年間は、それぞれ別称があり、グレード9を「フレッシュマン」、10を「ソフォモア」、11を「ジュニア」、12を「シニア」と呼んでいる。義務教育修学年限は、州で異なり、学校体系も8-4制・6-3-3制・5-3-4制等、各学区で異なる。これらは、歴史的、社会的に初頭・中等・高等教育の関係、子供の発達段階、またそれぞれの学校の位置づけ等を新たに検討することによって形成されてきた。そして、そこでの学校の形態・タイプも伝統的な学校、総合性ハイスクール、オールタナティブ・スクール、チャーター・スクール等、実に多様である。また、アメリカの高校は大学と同様、単位制であり、それぞれが異なる時間割に基づいて授業を受ける。主要教科は習熟度別で、学力に合ったクラスを履修できる。卒業に必要な単位を取得すれば、グレード12が終了前に卒業も可能である。アメリカでは、安全面や教育の質など、学校に対する不満が主な理由で、家庭を拠点に学習を行う在宅教育(ホームスクーリング)が認められている。アメリカで約230万人のK-12の生徒がこの制度を利用している。
参考文献
『アメリカの学校教育-教育思想・制度・教師-』(2017)赤星晋作 学文社