アメリカの民族

出典: Jinkawiki

アメリカは多民族社会であり移民が多い。ただ、日本とアメリカでは民族という言葉の意味に違いが見られる。日本語では共同的な絆の強さを感じ、民族の個々のメンバーが文化的に同質的で、その基本的な発想が類似していると見なす傾向が強い。対してアメリカでは集団としての自立性や一体性が強く保持されているわけではない。アメリカの移住者や移民が母国では民族と見なされていないのに、アメリカに移住して定着することによってエスニック集団化するものがある。メキシコにおけるメキシコ人は民族集団とは考えられていない。しかし、合法・非合法問わず、越境してアメリカに入国した人々はメキシコ系アメリカ人と見なされるようになる。メキシコ系アメリカ人は、メキシコから来たという共通意識があるかもしれないが、もともと民族意識があるわけではないので、日本で民族といって想起されるような、自立性や一体性を持っているわけではないのである。 アメリカの民族問題を考える上で避けて通ることができないのが、黒人の問題である。アメリカの黒人は、近年ではカリブ海やアフリカから移民してきた人も増えている。移民という言葉を移動する民と定義するならば、アメリカ生まれの黒人もその大半が祖先でアフリカ大陸から移動してきた人々である。とはいえ、黒人の祖先の多くはかつて奴隷として強制的に連れてこられた人々であり、自発的にアメリカに入国した移民とは大きく性格が異なる。

参考文献:アメリカ政治 制度・文化・歴史

       (西山隆行著)

  人間科学大事典

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