アメリカの犯罪
出典: Jinkawiki
アメリカの犯罪
《犯罪と貧困》 犯罪には、大きく分けて殺人・レイプなどを含む暴力犯罪と強盗・窃盗などを含む財産に対する犯罪とがある。1960年から犯罪は増加傾向にあり、1960年の338万4200件から1992年の1443万8191件まで、およそ300%以上という増加率を示した。 また、イリノイ大学のディヴィッド・ルービンスタインによれば、失業率と犯罪率の間には密接な関係がある。1900年以降の殺人を図表にしてみると、大恐慌が深刻な1933年をひとつのピークに、1933年から1940年の間に、殺人の割合はほぼ40%に落ち、財産に関わる犯罪も、同様なパターンを示したという。1992年以降、犯罪の発生率は少しずつ減少しているが、そこには1990年代のアメリカ経済の安定も反映している。 しかし、貧困家庭においては、財産や人的犯罪の被害率が最も高い。1991年の統計によれば、年収7500ドル以下の家庭における被害がおよそ120万人に対して、年収5万ドル以上の家庭における被害は90万人以下である。 《人種と犯罪》 人種別に見ると1992年現在、白人は人口の約80%で、全暴力的刑事犯の約54%を占める。しかし、黒人は人口の約12%を占めるに過ぎないにもかかわらず、全暴力的刑事犯の約45%を占めている。一方被害をみると、アフリカ系アメリカ人の青年の都市部における殺人被害率は、1960年には10万人につき約45人だったのが、1990年には約140人にまで増加した。一方で白人青年の被害率は10万人につき約20人の割合である。つまり、黒人21人のうち1人は殺害される計算になるが、それは第二次世界大戦中の兵士の死亡率より高い。さらにアフリカ系アメリカ人のティーンエージャーたちの主たる死因は、1992年現在、殺人であり、被害が若年層にまで及んでいる。 このような犯罪被害状況は必ずしも人種間の対立を原因とするものではない。1990年において黒人の殺人被害者の93%は、黒人の犯罪者によるものであった。マタ黒人の犯罪被害は貧困層に限定されるわけでもない。前に述べたように、犯罪被害率は収入が高くなるにつれて低くなる傾向にあるが、1993年の司法省の報告によれば、黒人の被害率は全ての収入レベルで白人よりも高いばかりでなく、収入レベルが上昇するとともに被害レベルも上昇する傾向がある。 一方で1995年現在の人口比は、白人74%、アフリカ系13%、ヒスパニック系10%、アジア系他が3%であるが、2050年には白人53%、アフリカ系14%、ヒスパニック系23%、アジア系他10%となると推定されている。韓国系移民の経営する商店などが襲撃の対象となった1992年のロサンゼルス暴動に明らかなように、人種と犯罪の関係は、白人か黒人かの図式には収まりきらなくなっている。
参考文献:『概説 アメリカ文化史』 編著者 笹田直人他
ミネルヴァ書房 2002年初版第1刷発行
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