アメリカの義務教育

出典: Jinkawiki

根拠法

各州の州憲法及び教育法(又は学校法)

義務(権利)の在り方(就学義務の有無)

各州がそれぞれ州の憲法や教育法等で規定。 (例) ・カリフォルニア州 6歳~18歳の子どもはフルタイムの義務教育を公立学校において受ける義務がある。(州教育法) 保護者は当該年齢の子どもを地域の公立学校に通わせる義務がある。(州教育法) 「義務教育を受ける権利」に関する直接の規定はない。 ・イリノイ州 7歳~16歳の子どもの保護者は子どもに教育を受けさせる義務がある(教育法)。 州は公教育の施設と教育制度を整備し,初等中等教育を無償で提供する義務がある(州憲法)。 「義務教育を受ける権利」に関する直接の規定はない。

就学年齢

各州によって異なる。 開始年齢はほとんどの州で6歳又は7歳と規定(7歳と規定している州でも,小学校入学年齢は学区によって6歳と規定されており,実際は6歳入学)。 ほとんどの公立小学校は入学前1年間の就学前クラス(K学年)を有しており,多くの児童が5歳から就学している。

就学期間

各州によって異なる。(最も長いのはニューメキシコ州,オクラホマ州,バージニア州で5歳~18歳)。 開始年齢はほとんどの州で6歳又は7歳と規定(7歳と規定している州でも実際は6歳入学)。終了年齢は多くの州で16歳と規定。 義務教育年限は9年又は10年(6歳又は7歳から始まり,16歳前後で終了)とする州が多い。

義務教育制度の対象となる学校の範囲(学校区分の扱い)

小学校,ミドルスクール,ハイスクールなど ・6-3(2)-3 ・8-4 ・5(4)-3(4)-4 学校の種類,段階区分は州・学区によって異なる。

目標

一般に公立学校の教育目標が州教育法などで定められている。 例、バージニア州 「公立学校の基本目標は,各々の児童生徒が充実した学校生活を送り,以後の生活を生産的なものとするために必要な基礎的技能を習得できることでなければならない」(州教育法)

到達度の評価の方法

絶対評価。各学区が定める教育課程の枠組みとなる州の教育スタンダードでは,複数学年からなるいくつかの段階(段階の設定は州により異なる)に分けられ,教科別に各段階における到達度が示されているのが一般的。 すべての州で州内統一の学力テストを実施。実施する教科及び実施学年は州によって異なるが、英語及び数学を中心に実施されるテストは,学校評価の指標の一部として活用されるほか,一部の州では進級要件やハイスクールの修了要件となっている。

進級・進学の基準

<初等教育> 通常,毎年1学年ずつ自動的に進級することを基本とするが,原級留置が行われる場合もある。 一部の州は州統一学力テストの合格などの進級要件を定めている。 進級・進学について法令上の年齢制限はないが,早期の進級・進学はまれ。 <中等教育> 単位制となっているため,必要数の単位を取得すれば卒業できる。 近年,卒業要件として州統一の学力テストを実施する州が増えている。

就学の際の学校選択

通常,通学区域が定められているが,近年,通学区域や教育行政の単位である学区を越えて学校が選べる学校選択制を取り入れる州や学区が増えている。

私立学校の扱い

私立学校は,一般に教育行政の対象外(公教育に含まれない)。 設置は州の認可制もしくは届け出制(州により異なる。手続きは学校の任意)。 多くの州では私立学校への就学は「就学義務の免除」として扱われる。 6割の州では私立学校の教員について資格等の規定を設けていない。規定されている場合であっても,宗教系以外の学校や州の認可を得た私立学校など特定の学校に限られる。 一般に私立学校には公的補助はない。

家庭等における義務教育

ホームスクールは、すべての州で就学義務の免除として認められている。 ホームスクールの教員資格を規定している州は少ないが,多くの州では州が指定したテストを決められた学年で受けることを課している。 学習時間等の記録を学区に定期的に提出することが求められている場合が多い。

学校評価

各州において,近年,州統一学力テストの結果,出席率,ドロップアウト率などを,学校ごとに公表。各州が定める基準に従って,学区が問題校と判定した学校は閉校を含む措置がとられる。

≪参考文献≫ ・文部科学省HP ・『アメリカ多文化社会の理論と実践』 2009.1.30 ソニア・ニエト 明石書店


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