アメリカの超格差社会
出典: Jinkawiki
アメリカの超格差社会
―ウォール街デモ―
2011年、アメリカのニューヨークで発生した反経済格差デモ「ウォール街を占拠せよ」は全米の大都市に広がった。11月8日付『ウォールストリート・ジャーナル』はGeneration Jobless(職なき世代)というタイトルで特集を組んだ。アイビーリーグを卒業しても訪問販売ぐらいしかない。高い授業料を払ってスチューデントローンの借金で苦しめられるより、授業料の安い公立大学を選ぶ。16歳から24歳までの失業率は16.7%にものぼる。うち大卒は7.7% 高卒は21.1%。6人に1人が職を持っていないのである。若者に仕事がない。体の具合が悪くなっても病院にもかかれない。「Occupy行動」が全米各地に広がる社会的背景だ。ごく普通の人々が反乱を起こしているのである。 ―高学歴20~30代― 発起人はカナダの反企業活動団体「アドバスターズ」である。その後に米環境保護団体「タイムズアップ」、コンピューター・ハッカー集団の「アノニマス」などが加わり、米サービス従業員国際労組(SEIU)といった代表的な労働組合も協力し始めた。参加者には、高等教育を受けた20~30代の白人男性が目立つ。本来なら米経済を支える中間層予備軍だが、デモに参加した理由を聞くと、就職難など将来の生活への不安を口にする。「大学を出ても仕事がないし、学費が値上がりして学生ローンを返せるか分からない」と大学生のジョナサン・ヘルナンデスさん。「経済格差など米国は問題ばかり」と無職のマイルズ・ウォルシュさんも嘆く。「ウォール街を占拠せよ」と並ぶスローガンは「99%」。国民の1%を占める超富裕層以外の一般市民を代弁する意味を込めた。1970~80年代初頭にかけて「99%」の一般市民は、米国の富の70%台後半を保有していたが、住宅価格低迷や高失業率で今や60%台前半に落ち込んでいる。財務面で見る限り、米国の中間層は崩壊が始まった。
―大企業にも矛先―
一方、富の3分の1を押さえる超富裕層が支払う税率は所得の31%程度で、国民の6割を占める中間層の25%前後とそう変わらない。しかも、一連の金融緩和による株高の恩恵を受けたのは、株式など金融証券の6割を保有する超富裕層だ。デモは保守派に対抗した単なるリベラル運動ではなく、均等に与えられた機会と自らの努力によって成功と富をつかむというアメリカン・ドリームを見失った中間層とその予備軍の「SOS」なのだ。背景には立ち直れないアメリカ経済、広がる経済格差、9.1%と高止まりしている失業率・・・という現状がある。 ―2010年の貧困比率、93年以来最悪の15.1%― 米国勢調査局は(9月)13日、2010年の米国の貧困比率が前年の14.3%から急激に伸びて 15.1%となり、1993年以来最悪になったとする統計を発表した。08年の景気後退終了後も、経 済の低迷が続いていることを強く示している。貧困層人口は4年連続の増加で、1959年にデー タを取り始めて以来最多の4620万人となった。ただし、貧困比率は59年より7.3%低くなって いる。貧困層は、2010年の年収が4人世帯で2万2314ドル(約170万円)以下、単身世帯で 1万1139ドル(約86万円)以下と定義された。統計は、貧困層以外でも家計が苦しくなって いることを示している。年間世帯収入の中央値は、前年から2.3%減の4万9445ドル(約380 万円)だった。
<参考資料> http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/6735f12afee54ae0b8610b51b0e51fea
http://tanakaryusaku.jp/2011/11/0003174
投稿者 Toy