アメリカ大統領の権限と地位
出典: Jinkawiki
2008年にオバマ次期大統領が当選したので、アメリカ大統領について調べてみた。
アメリカ大統領は「6つの帽子を使い分ける」としばしば表現される。この訳には世界最高の権力者とよばれるアメリカ大統領の権限と地位が巨大で多面的であるからだ。合衆国憲法は、大統領を①行政部の最高責任者②軍の最高司令官③対外的に米国を代表する最高責任者(国家元首)と定め、また④立法上の指導権限も認めている。必要な法令を作るよう議会に勧告し、議会を通った法案に署名して法律を発効させる。 憲法で規定されたこれらの権限以外にも、⑤政権党の実質的党首⑥国会を代表する模範的存在の役割もある。党の政策を国民に訴え、党の候補者を応援したり、全国遊説して政治資金を募る。国民に対しては、良きアメリカ市民のモラルを体現していなければ、人気と尊敬を得られない。 ある時は王冠を戴いた国王のように威風堂々と行動し、戦争を指揮するときは大元帥のカブト姿で演説にのぞむ図が思い浮かばれる。権力や地位を帽子に例えるのは、王冠が全能の権威を象徴した大英帝国の植民地時代の名残だろうか。 大統領の国民的イメージは、第二次世界大戦時のルーズベルト、トルーマン、アイゼンハワー辺りまでは「国父」が都の厳格さと格式が尊ばれた。43歳の若さで就任したケネディあたりから、ソフトで庶民的な雰囲気が求められるように変わっていった。在任中の不祥事が露呈したクリントン大統領は「やや崩れすぎた」と考えている国民が多いようだ。
行政に関する大統領の権限は次のとおりである。「世界最高の権力者」と呼ばれるアメリカ大統領の権限と地位は、巨大かつ多角的である。アメリカ大統領の基本的な役割は、アメリカの「行政権」を担うことにある。合衆国憲法には、「行政権は、アメリカ合衆国大統領に帰属する」とある。つまり行政に関わる全てのことは、全て大統領1人決定することができるということで、本当にすごいことである。日本や英国の首相は議員を兼任するが、アメリカ大統領は兼任を認めない。日本国憲法「行政権は、内閣に属する」とある。日本の内閣は何かを決定するためには、内閣の大臣たちの全会一致で同意をする必要があるとされている。内閣総理大臣は、内閣のメンバーを自由に任命し、罷免することができるので、その権力を保っている。アメリカ大統領の場合は、行政権は全て自分の仕事であるから、日本での大臣に当たる各省の長官の反対にあっても、大統領はいっさい耳を貸さずに自分の思うままに行うことが出来るのである。「人民の人民による人民のための政治」を唱えたリンカーン大統領でさえも、閣議で7人の官僚全員反対されたのに、「反対7、賛成1。よって賛成に決まりました」と平然と決裁を下したという。
参考文献:ナツメ社 「アメリカ大統領」
「現代アメリカ政治」砂田一郎、葦書房、1999年
www.sipec-square.net/~mt-home/students/ohnaka/page3-2.html