イエス・キリスト2
出典: Jinkawiki
イエス・キリスト」はギリシャ語で主格を並べた同格表現であって、「キリストであるイエス」「イエスはキリストである」の意味である。マタイ伝・マルコ伝はそれぞれの冒頭で「ダビデの子イエス・キリスト」「神の子イエス・キリスト」と呼び表しており、この結合表現は新約の他の文書でも用いられている。パウロ書簡には「イエス・キリスト」とならんで「キリスト・イエス」の表現も見られるが、紀元1~2世紀の間に「イエス・キリスト」の方が定着していった。 「キリスト」は救い主への称号であったため、キリスト教の最初期においては、イエスを「イエス・キリスト」と呼ぶことは「イエスがキリストであることを信じる」という信仰告白と等価であったと考えられる。しかしキリスト教の歴史の早い段階において、「キリスト」が称号としてではなく指す固有名詞であるかのように扱われはじめたことも確かであり、パウロ書簡においてすでに「キリスト」が固有名詞として扱われているという説もある。よって、今日において「イエス・キリスト」と述べることが常に自覚的な信仰告白である訳ではない。いずれにせよ、イエスを「イエス・キリスト」と呼ぶことはイエスを救い主として認めることを含意しており、イエスを単なる宗教運動家・預言者と見なす立場からイエスを「イエス・キリスト」と呼ぶことはない。非キリスト教徒が「イエス・キリスト」の呼称を用いるのは、「キリスト教において救い主として扱われるイエス」を指す場合にのみ適切であると考えられる。
KK