イエナプラン4

出典: Jinkawiki

イエナプラン 概要



イエナプランとは、1923年にイエナ大学の教育学教授であったペーター・ペーターゼンによって始められた。彼は、「教授法から教育学へ」をテーマに4~16歳の子どもたちの教育方法を再編していった。1924年に子どもたちが「根幹グループと呼ばれる異なる年齢のグループで教育を受ける」という小さな試みが始められたのがきっかけだった。その後、オランダのスース・フロイデンタール・ルターが1955年にペーターゼンのイエナプランを発見し、研究が重ねられ、1962年にイエナプラン・スクールが建設された後、瞬く間に広がり現在220校以上のスクールがオランダで活動している。

特徴



根幹グループ 1. イエナプランスクールでは、学級は異年齢の子どもたちによって構成されている。通常、3学年にわたる子どもたちが「根幹グループ(ファミリー・グループ)」と呼ばれる学級に属する。学級担任の教員は「グループリーダー」と呼ばれ、毎年新学年になるごとに、年長の子どもたちが次のグループに進学し、新しく年少の子どもたちがグループに参加する形である。原則として、担任であるグループリーダーは交代しない。これにより子どもたちは自身で「教える」、「教わる」関係を構築することができるため、先生が前に立って授業をせず、フォロワーとして支える授業スタイルが可能となる。

2.4つのサイクル  学校での活動は、会話、遊び、仕事(学習)、催しという4つの基本活動を循環的に行う。会話は、サークルを作ってグループリーダーも生徒とともに参加して行う。遊びは、教育学上の効果を期待したゲーム遊びなどのことで、企画されたもの、自由遊びなど様々な形態が用いられる。仕事は、自立学習と共同学習の2種類があり、どちらも課題を意識してそれを達成するために行われる。催しは、週の始めの会や週の終わりの会、特別の年中行事、教員や生徒の誕生日などで、喜怒哀楽の感情を共有して学校における共同体意識を育てることに目的が置かれている。また、この4つの活動を循環的に行うために、時間割は教科別で作られず、4つの活動のリズミックな交代をもとに作られている。この4つのサイクルにより、子どもたちは自発的に考え、行動し、意見を述べることができる。

3.リビングルーム教室  生の仕事の場としての学校を目的とし、学校は子どもと教員と保護者とからなる共同体とみなし、子どもが大半の時間を過ごす場として、リビングルームとしての環境づくりを強調する。子どもたちは、ある家族のように年齢の異なる子どもたちから成っている根幹グループに置かれる。グループでは家庭的な環境を持ち、それは子どもたちと一緒に作られ維持されていくものである。こうして子どもたちは空間に対して自分たちの空間であるという責任を学んでいくのである。

4.ワールドオリエンテーション  イエナプラン教育では、理科・社会科など教科の区別はなく、ワールドオリエンテーションという総合学習の形態を用いられている。この考え方、教材、教育方法、カリキュラムは、オランダで特に大きく発達し、年間およそ8~9のテーマを決め、学校全体で同じテーマに取り組む。基本的に、テーマである対象物に対する子どもの問いかけを学習の出発点とし、自分たちが挙げた問いを整理して、それに対する答え探しの手順を話し合い、計画して学習を進める、というプロセスにグループリーダーはファシリテーターの役割を果たしながら関わる。こうすることで子どもたちは自ら問いに意味を見出し、積極的に問題解決へ向かうことで、論理的思考を鍛えることができる。

課題



 日本の生活水準は世界第4位とオランダ第7位に比べるとまだまだ高い位置付けにある。しかし、国民一人あたりの労働生産性を見比べると日本よりオランダのほうが遥かに高い結果となっている。近年、コンピュータの出現により、詰め込むだけの暗記力などは意味をなさなくなっており、我々人間に求められているのは、自発的に「考える」力である。そのため、このようなイエナプラン教育のような自主性を高める教育の必要性も叫ばれている。

参考資料 『学校と授業の変革』 1984 P.ペーターゼン 明治図書

http://blog.share-wis.com/jena-plan


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成