イラン・イラク戦争
出典: Jinkawiki
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イラン・イラク戦争の殉教者
イラン・イラク戦争のただ中にあった80年代、連日のように殉教者の写真や遺書が、赤いチューリップの挿絵とともに新聞に掲載された。赤いチューリップは大地に流された殉教者たちの尊い血の象徴である。イラン・イラク戦争は、何十万もの若者の命を奪ったが、「イスラームを守る」という大義のもとにこの戦争を遂行することで、革命政権はその政治基盤を固め、ヴェラーヤテ・ファギースを不動のものにした。85年度版の小学5年社会科教科書にもその説明が書いてある。 教科書が賛美し、新聞や雑誌がこぞって報じてきた「殉教者」たちはみな精一杯、神への賛美、革命のスローガン、ホメイニーをたたえる言葉がちりばめられている。未婚の青年たちも少なくなかったために親兄弟へあてた手紙が多いが、彼らは一様に殉教は名誉なことだから悲しまないでほしい、と綴っている。彼らはみな十分な教育を受けることができなかった者たちであった。
参考文献 桜井啓子 『現代イラン 神の国の変貌』 岩波新書 2001年 八尾師誠 『イラン近代の原像』 東京大学出版 1998年