インダス文明
出典: Jinkawiki
20世紀になってインダス川流域のモヘンジョダロとハラッパーを中心に発見された先史時代の都市文化の総称。年は相当大規模で、特にモヘンジョダロの遺跡は約10haの広さにわたり、整然たる都市計画の跡が示されており、発達した行政組織の存在したことをしのばせ、古代的というよりはむしろ近代的な都市美を誇っていたことが知られる。しかしオリエントに見られるような神殿・王宮は見られない。街路は広くしかも舗装され、街路に沿ってレンガで構築された下水溝が、いたるところに通じている。付近の村では小麦・大麦・豆・ごま・ナツメヤシ・綿花が栽培され、牛・水牛・羊・山羊・豚・駱駝などが家畜として飼われていた。都市の人々は各種の土器を作り、銅または青銅の武器や工具を用いた。滑石で作った印章があり、その上に動物の文様とともに象形文字を見ることができるが、その解読の試みが未だ続けられている。水牛・犬ををはじめ、各種の動物、車などのテラコッタとともに女性のテラコッタが少ない。彫刻の技術にすぐれ、石造の人物像や青銅製の踊る婦人像などは注目されてよい。インダス文明を残した人種については、オリエントと同じく地中海人種とする説があるが、アーリヤ人侵入前に住んでいたドラヴィダ人と考えるものもある。そこには宗教的権威をもった強力な主権はなく、むしろ平和な市民社会が展開されつつあったが、インダス川の氾濫およびアーリヤ人の侵入によって、受け継がれることなく一挙に滅びたと考えられる。
参考文献
東洋史辞典 東京創元社
アジア歴史辞典 平凡社