ウィーン条約

出典: Jinkawiki

概要

オゾン層の保護のためのウィーン条約は、オゾン層保護のための国際的な対策の枠組みを定めた条約。略称はウィーン条約である。1985年採択。1988年9月に発効。日本は1988年に加入。この条約に基づき、オゾン層を破壊するおそれのある物質を指定の規制を目的としたモントリオール議定書が、1987年に採択されている。 国連環境計画(UNEP)を中心として検討されてきたこの条約は、 人がオゾン層を変化させることにより生ずる悪影響から人の健康及び環境を保護するために適当な措置をとること(第2条) 研究及び組織的観測を行うこと(第3条) 法律、科学及び技術等に関する国際的な協力を行うこと(第4条) などを規定している。国際的に協力してオゾン層やオゾン層を破壊する物質について研究を進めること、オゾン層に影響をおよぼす人間活動を規制する措置、オゾン層の保護に関する研究、観測、情報交換が決定された。さらには、各国が適切と考える対策を行うこと等を定められている。 この条約に基づいて、より具体的な規制を盛り込んだ「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が1987年に採択された。モントリオール議定書の採択された後、オゾン層の破壊がさらに進んでいることから5回にわたって規制措置の強化が実施された。この条約の締約国は、190か国及びECである。条約事務局はナイロビのUNEPに置かれている。

背景

地球を取り巻くオゾン層は,生物に有害な影響を与える紫外線の大部分を吸収しているが,他方で,冷蔵庫の冷媒,電子部品の洗浄剤等として使用されていたCFC(クロロフルオロカーボン),消火剤のハロン等は,大気中に放出され成層圏に達すると紫外線による光分解によって塩素原子等を放出し,これが分解触媒となってオゾン層を破壊している。オゾン層の破壊に伴い,地上に達する有害な紫外線の量が増加し,人体への被害(視覚障害・皮膚癌の発生率の増加等)及び自然生態系に対する悪影響(穀物の収穫の減少,プランクトンの減少による魚介類の減少等)がもたらされている。 このようなオゾン層破壊のメカニズム及びその悪影響は,1970年代中頃から指摘され始め,その後,国際的な議論が行われ, 1985年3月22日に,オゾン層の保護を目的とする国際協力のための基本的枠組を設定する「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が,1987年9月16日に,同条約の下で,オゾン層を破壊するおそれのある物質を特定し,当該物質の生産,消費及び貿易を規制して人の健康及び環境を保護するための「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が, それぞれ採択されるに至った。

前文

この条約の締約国は、  オゾン層の変化が人の健康及び環境に有害な影響を及ぼすおそれのあることを認識し、  国際連合人間環境会議の宣言の関連規定、特に、「諸国は、国際連合憲章及び国際法の諸原則に基づき、自国の資源をその環境政策に従つて開発する主権的権利を有し、及び自国の管轄又は管理の下における活動が他国の環境又は国の管轄の外の区域の環境を害しないことを確保することについて責任を有する」と規定する原則21を想起し、  開発途上国の事情及び特別な必要を考慮し、  国際機関及び国内機関において進められている作業及び研究、特に国際連合環境計画のオゾン層に関する世界行動計画に留意し、  国内的及び国際的に既にとられているオゾン層の保護のための予防措置に留意し、  人の活動に起因するオゾン層の変化を防止するための措置は、国際的な協力及び活動を必要とすること並びに関連のある科学的及び技術的考慮に基づくべきであることを認識し、  オゾン層及びその変化により生ずるおそれのある悪影響についての科学的知識を一層増進させるため、一層の研究及び組織的観測が必要であることを認識し、  オゾン層の変化により生ずる悪影響から人の健康及び環境を保護することを決意して、  次のとおり協定した。


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  構成