ウォーターゲート事件

出典: Jinkawiki

内容

1972年アメリカ大統領選挙戦さなかの6月17日、ニクソン再選委員会(共和党)の組織した一味(7名)が、民主党選挙対策本部のあるワシントンDCのウォーターゲート・ビルに侵入し、盗聴器を仕掛けようとしてその作業中にガードマンに発見されて未遂に終わり、逮捕されて起訴され、これが契機となって2年余にわたってアメリカ政界を大混乱に巻き込み、ついに74年8月9日、議会による事実上の弾劾直前になってニクソン大統領を辞任に追い込んだ事件。

事件は当初10日間は、ビル侵入で逮捕された被疑者およびその直接上司が告発されるだけで終わるかにみえたが、しだいに体制内の権力闘争の様相を濃くしていった。まず、逮捕された「ウォーターゲート・セブン」のうちジェームス・マッコードの裁判証言で、ミッチェル共和党大統領再選委員長(前司法長官)、ニクソン側近のアーリクマン、ホールドマン両補佐官も直接関与していたことが明らかにされて辞任、またディーン大統領法律顧問、クラインディーンスト司法長官も辞任に追い込まれたが、ニクソン大統領自身は事件に無関係だったと釈明した。だが、事件の真相究明のため任命されたコックス特別検察官、ラッケルハウズ司法次官を大統領が解任し、これを不満とするリチャードソン司法長官(検事総長)が辞任したころから、大統領自身とその側近、主要閣僚の大半が事件にかかわってきた疑惑が出てきた。

事件後の経過

事件発覚から10か月目の1973年3月、戦後アメリカ政財界で最有力な調整役を務めてきたクラーク・クリフォード(ジョンソン大統領時代に一時は国防長官)が公然とニクソン大統領の辞任を要求。以後この事件は、単に選挙戦での盗聴犯罪の域をはるかに越えて、なんとしてでもニクソンを大統領から引きずり下ろすためのすさまじい政治権力闘争と化するに至る。そのための筋立てとして、ニクソン辞任によっていっそう不適格なアグニュー副大統領が大統領に昇格するのを防ぐため、アグニューが副大統領就任以前に出身州で犯したささいな汚職を告発して、ニクソン大統領に副大統領アグニューを解任させて、ジェラルド・フォードを後任に任命させる手が打たれる。そのうえで、ニクソンが事件に無関係であることを証明しようとして提出したホワイトハウス内の会話録音テープで、ニクソンが大統領にあるまじき下品なことばを使っていたり、テープに作為していた事実や、大統領が元首の資格で外国から贈与された宝石をパトリシア夫人に贈った事実、大統領自身の脱税の事実そのほか、当時オルソップ記者が書いたように、内国歳入局、FBI、CIAなどが協力しなければ絶対にわからないような事実が次々にマス・メディアに暴露されて、ニクソン追放の大勢を着々と加速させていった。これは明らかに、ウォーターゲートを名目とする、政治路線をめぐる権力内部の抗争の発現であり、ニクソンが辞めさえすれば、弾劾であれ自発的辞任であれ、その手段はどうでもよかったのである。その意味ではこの事件は、アメリカ政治史上でもほとんど先例のない大統領府への政財界主流の挑戦であった。事件の内容を丹念に追及・暴露していったワシントン・ポスト紙の2人の記者カール・バーンスタイン、ボブ・ウッドワードの大きく注目された役割や、下院司法委員会の大統領弾劾への追及劇などは、実はこの大勢を助長するために負わされた副次的役割にすぎなかった。

動機

ウォーターゲート事件の背景に隠された真の動機は何であったかといえば、(1)ベトナム和平に関するパリ協定(1973年1月)以降もなおニクソン政権がベトナムから手を引かず、サイゴン政権維持に巨額を浪費していたこと、(2)国際通貨体制(ブレトン・ウッズ体制)を崩壊させ、ドルの信用と価値をだいなしにしたこと、(3)旧ソ連・中国との「デタント」を重視するあまり、世界資本主義体制のかなめとしての西欧諸国・日本との関係を悪化させたこと、などであった。しかし、ニクソンを辞任させた勢力の側にも、これらについて明確な対案が用意されていたわけでないことは、この事件の複雑さを暗示している。


参考文献http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6/

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